- 地方に移住して自然に囲まれて暮らしたいと考える人が増えてきている。
- 仕事の仕方や暮らし方がより多様になり「物質的な豊かさ至上主義」ではない人が増えている。
- 半農半X型田舎フリーランスって何?
- 移住した理由
- 「ポレポレ工房」を起業した理由や取り組み内容
- 雪国新潟での暮らし
目次
半農半X型田舎フリーランスって何?
今回清野さんにお会いするまで、私は「半農半X」という言葉を知りませんでした。清野さんの説明を聞いて、「塩見直紀さんという方が1990年代半ば頃から提唱してきたライフスタイルで、自分が食べることができるだけの小規模な農業をしながら、残りの時間は農業以外の『X』、つまり自分が好きなこと、やりたいことを実践するという生き方であり、価値観であり、ライフスタイルである」ということを知った次第です。 確かに、インターネットで「半農半X」を検索すると、「新しいライフスタイル」として、記事やサイトがドンドン出てきます。すっかり社会に定着している言葉だったのですね。私は時代にずいぶん乗り遅れてしまっていたようです・・・。半農半X型田舎フリーランス清野憂ってこんな人
半農半X型田舎フリーランス、清野憂さんのプロフィールを簡単にご紹介します。 清野さんは、2014年地域おこし協力隊として新潟県小千谷市に移住。3年の任期終了後にポレポレ工房(「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味)を起業、地元の食材や自家栽培の素材などを使ったお菓子や料理の製造販売を行う傍ら、農業法人でのアルバイト受託仕事をしながら生計を立てています。移住の理由は「地域で手をかけたお料理を作りたい」という想い

地域の食・安心な素材を使ったお菓子を作る「ポレポレ工房」
ポレポレ工房は、清野さんが営むお菓子製造・販売の工房です。清野さんに「ポレポレ工房」をはじめたきっかけや、どんな取り組みをしているのかお聞きしました。きっかけは地域の特産「胃袋かぼちゃ」
食に関する起業を考えたものの、お料理については「地域おこし協力隊」でお手伝いしていたお店があるし・・・と思案していたところ「胃袋かぼちゃ」という甘くてホクホクしたかぼちゃを使ったプリンがあるのを見て、お菓子工房で起業を考えたそうです。
安心な素材を使ったお菓子の製造やお料理教室も!
また、それ以外にもこの地域ならではの食材や、身体にとって安心な素材を使ったお菓子の製造販売、そしてお料理教室の開催も。
米粉を使ったお料理はおすすめ!
生まれも育ちも関西人の私は「粉もの文化」から離れることはできないので(笑)、小麦を食べるのをやめようとは思っていませんが、気がつくとお米よりも小麦が中心の食生活になっていることが少しひっかかっているのは確かです。 お米をもっと食べて、日本の食の自給率引き上げに多少なりとも貢献したい(非常に微々たる力ですが)という気持ちもあり、米粉を使ったお料理に興味を持っていたところ、清野さんのお料理教室のレポートを読み、米粉ガレットに挑戦してみたくなりました。ガレットがうまくいけば、米粉でつくるお好み焼きなんてどうだろう?と、夢は広がります。米粉もお料理ごとに「これ!」というピッタリなお米があるようです。清野さんにそういうことも教えてもらいたいな。
ポレポレ工房は神出鬼没!色んなイベントに出店
見て楽しい、そして食べておいしいお菓子たち、オンラインでは購入できないとのことなので、岩沢に来て食べるしかないのかと思ったら、実はポレポレ工房は神出鬼没。
誰でも参加できる自然栽培ワークショップ
さらに、今年からは「ポレポレ農園」での「大豆の自然栽培ワークショップ」も始まったようです。 https://kome-musubi.jp/natural-cultivation-soy/ このワークショップは、一般の人たちに、種まきから収穫までの必要な作業に月いちペースで参加してもらい、収穫後はその畑で育った大豆を使って味噌と納豆を一緒につくりませんか、というプロジェクト。単発での参加もオッケーだそうです。
半農半Xイナカフリーランスの暮らし肝は「密なつながり」
岩沢暮らしを始めて8年の清野さんに雪の多い新潟での暮らしを聞いてみました。雪は多いけど…四季のメリハリがあるのがいい
「雪はやっぱり多いんですけど、雪かきは身体を鍛えるにはちょうどいいんですよ。また、冬の間、曇天が続くのは確かですが、だからなおさら、たまに晴れた日の嬉しさは格別です。冬が終わって信濃川の雪が消えると、緑色がドンドン増えていって、緑のものがなんでも食べられそうな、そんな幸せな気分になります。そんなとき、ここに来て本当に良かったと思います。四季のメリハリがあるのがいいですね」
ちゃんとした子供時代から抜け出した快感
「半農半X」って、よほどの覚悟がないと続けられないのではないかと考えていた私は、清野さんに「半農半X」を実践してみて、今はどんな風に思っているのか聞きたいと思いました。 清野さんはこう答えてくれました。 「楽しめることが大事だと思っています。もともと私は、『ちゃんとした子供時代』を過ごしてきた人間なんです。以前、ケニアに旅行で行ってとても気に入ったので、その後、NGOの活動をしながらケニアで一年間生活したんです。まったく異なる環境で生活してみて、そのときに『ちゃんとした子供時代』から抜け出した快感が強烈でしたね」 「それからはいろんな仕事をしたかったので、派遣で働きました。派遣は、いろいろな仕事を経験したい、しばらく働いてしばらく休みたいという私の希望にピッタリな働き方でした。そのあとにここへ来て、自分はどこでも生きていけると思いました。やってみてわかることだらけだと感じています」 やる前に考えることも必要でしょうが、やってみないとわからないことって山ほどありますよね。大人になるとついつい「守り」に入りがちですが、「どこでも生きていける」と思うと、人生の幅がグーンと広くなりそうだと、清野さんのお話しを聞いていて思いました。地域でのつながりを密にする
今後については、「今やっていることをブラッシュアップしていきたいです。そして、つながりを太くしたいです。地域でのつながりが密になればなるほど、自分の商売にも反映されていく。それって快感ですし、やりがいがありますね」 コアなファンを増やしていきたいという清野さん、最初は商品を県外や東京で販売することを考えていたとのこと。でも手ごたえが今一つ感じられなくて、地域での販売にシフトしたそうです。 「田舎は人間関係が密で大変という面もありますが、最初の3年間頑張ったことが実を結んできていると思います。ここに私という少し違う種類の人間が移住してきたことが、地元の人にとっても刺激になればいいなと思っています」 お金ではない心の豊かさがここにはある、自分で育てたものを収穫して食べる、あるいは加工して製品にする、それがどれほど贅沢なことか。そんなことをサラッと笑顔で語る清野さん、まさに「半農半X型イナカフリーランス」生活を心から楽しんでいることが伝わってきました。おわりに

この記事を書いた人
小宗睦美(こむねむつみ)通訳・翻訳・研修講師。
バブル世代で都会暮らし。21年夏のある暑い日にキャベツを発酵させて食べてみたところ、その美味しさにハマり発酵の魅力にとりつかれる。発酵講座に通い、味噌や醤油をつくり始めたことで、これまで興味がなかった農業も気になる存在に。移住はムリだが、「都会ときどき田舎暮らし」には興味あり。