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専門家ではない私が、棚田米を「審査」してみた話

2026 1/22
棚田米コンテスト
2026年1月22日
こめむすひ 編集部

はじめて小千谷を訪れたのは、今年の9月のこと。

片貝花火の壮麗さに圧倒された夏の終わりから季節は一つ進み、今回は棚田米コンテストの特別審査員というお役目をいただき、ちょっぴり及び腰になりながらの再訪となりました。

日々コンクリートジャングルの只中でPCを叩きながら過ごす私にとって、米づくりや農作業といった行為は縁遠い営みの一つです。

とはいえ、米農家を親戚にもち、直近では仕事でも農業に携わる機会があったりと、「農と食の世界」への関心が高まりつつあった今日この頃。

そんな折に舞い込んできた棚田米コンテストのお話に、好機逸すべからずと持ち前の好奇心で挑戦させていただいた小千谷での貴重な二日間の体験談をお届けします。

目次

見て、知る、棚田のこと。

米作りや地域への理解促進のため、希望者を対象に棚田訪問や生産者の方との交流機会を提供してもらえるとのことで、コンテスト前日に実施されたツアーへ参加しました。

舗装された道路を逸れ、前日の雨に濡れた細い山道を進むと、ほどなくして小高い丘に到着します。

車を降りて縁まで歩いて行くと、眼前には外之沢の棚田が広がっていました。

ちょうど稲刈りを終えた褐色の田んぼが、緩やかな斜面に沿って幾重にも重なっています。
よく観察すると、上段になるほど土地が荒れており、およそ米作りが行われているとは思えません。

聞けば、今はもう栽培を行っていない耕作放棄地だといいます。
周辺の農業従事者は高齢化が進み、新規就農者への引き継ぎも思うように進まず、そうして手放されてしまう田んぼが増えている状況は、小千谷に限った話ではありません。

中でも棚田での米作りには、ならではの困難が多くあります。
そんな話をMt.ファームわかとちで伺いました。

まず、形が不揃いで大型機械を導入しづらいという地形的な不利があります。次に、上下の田んぼの水量を状態に応じて微調整するという、水の管理の難しさです。それから、土砂崩れへの備えや畦の整備、急斜面での作業など、体力的な負担も無視できません。

ちなみに、Mt.ファームわかとちの田んぼをはじめ、この地域には雪解け水や雨水のみを水源とする天水田が多いそうです。つまり、ここに天候との戦いも加わります。

それでも棚田での米作りは続けられてきました。

なぜなら、棚田にしか出せない米の個性があるからです。
標高差による寒暖差、澄んだ水、風と光。自然の恵みを満遍なく受けて育つことで、独自の美味しさが生まれます。

確かに、効率だけを考えれば平地での米作りの方が有利なのは明白です。しかし、「作りにくい」という事実こそが、そのまま味と価値につながっています。

棚田米は、環境の厳しさに負けず挑み続ける人々の思いと努力によって育まれる力強い米です。

そして棚田の米作りとは、効率化によって克服できる困難ではなく、思いをもった人たちが関わり続けることでしか成立しない農業なのです。

市外の人として味わう棚田米

翌日は、会場となるホントカ。へ。いよいよ審査の時です。

棚田米コンテストでは、まず機械による一次審査で食味や見た目の良い米を10品選抜し、その後、一般審査員と特別審査員が実際に食べて評価する仕組みになっています。

市長賞、会長賞、ホントカ。賞などが用意されていて、評価軸の中心にあるのは、「一般の人が美味しいと感じるかどうか」という点です。

そのため、特別審査員にも特別な技能は求められていません。専門家ではないこと、市外の人間であること。その立場から、小千谷の棚田米をどう感じたかを評価することが、今回与えられた役割でした。

審査では、10品の米を一口ずつ食べ比べます。銀色の小さなトレーに、それぞれ白くつやのあるお米が一盛りずつ並びます。

同時にシートが配布され、見た目、食感、味の3項目を5点満点で評価していきました。

正直なところ、どれも美味しくて明らかな差異は感じませんでした。口に入れた瞬間の印象や、噛んだときの甘み、粒立ちの違いなど、さまざまな違いはあるのでしょうが、それは優劣ではなく個性の違いです。

それぞれの米が育てられた田んぼや作り手に思いを馳せながら、うんうんと唸りつつ点数をつけていきました。

人を育む米づくり

会場では、地元の小学生たちが育てたお米も、一般参加者向けに試食として配布されていました。

幼い頃から米作りに触れ、その営みの大変さや達成感を学ぶことは、個人にとっても地域にとっても有意義なことだと思います。

自分たちの手で育てたもので誰かのお腹を満たし、幸せな気持ちにさせることができる。その嬉しさと、その裏にある苦労を知りながら、小千谷の子どもたちは育っていくのだと感じました。

代表の生徒たちがステージに上がり、奨励賞が授与されると、「次はもっと上の賞を目指す」と意気込む姿に、会場から温かい拍手が送られました。

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米をつくる人、売る人、生産を応援する人、その価値を広げる人、そして食べる人。
そうした人々の連なりによって、米文化は成り立っています。

今回のコンテスト一つをとっても、出場した生産者の方々はもちろん、棚田米や小千谷地域を守り、継いでいこうとする多くの人の存在を感じました。

この二日間を通して、棚田米は私にとって、ただ「美味しい米」以上の存在になりました。
その一粒一粒にかけられる時間や思い、費やされるお金、そして地域が抱える課題。そうした背景を知った今、棚田米は、選び、応援したくなる存在です。

この体験談が、誰かにとって棚田米を知る入口になれば嬉しいです。

この記事を書いた人

谷中 歩 第2回おぢや棚田米コンテスト 特別審査員

宮城県の米農家を親戚にもち、幼少期より美味しいお米を食べて育ちました。
経済メディアでイベントプロデュースに従事し、本年度より起業家精神をもって農業経営に取り組む生産者を表彰する農業アワードを立ち上げています。
ライフワークは「感動すること」です。

棚田米コンテスト
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