本記事は、都市部の学生たちと農山村の地域の人々を結ぶきっかけづくりを行う「地域づくりインターンの会」で、小千谷市岩沢地区に約2週間滞在した大学生が執筆しています。
大学1年生、波多江将吾(はたえしょうごです!)私は神奈川県出身です。この夏、「地域づくりインターンの会」という地域交流のイベントに参加し、新潟県小千谷市の岩沢地区に約2週間滞在しました。
滞在期間中は岩沢地区にある地域づくりを行う団体「岩沢アチコタネーゼ」の会員の皆さんにお世話になりながら、「山の上にある「崖見湯」の整備」のほか、農家さんのお手伝いなど様々な活動を体験させていただきました。
この記事では、私がこの滞在中に感じた、日本全土が影響を受けてほしい岩沢の地域の中の良さを紹介していきます!
はじめに:最も驚いたことは地域の人たちの関係
滞在期間中に私が良い意味でおどいたことは、それは同じ岩沢地域に住む人々全員が、お互いに日常的に関わりを持っていること、そして無意識に助け合っているという事です。
例えば、資材や道具が必要になった時、周りにそれを持っている人がいないか確認をしていってくれたり、農家なら野菜など、人によっては物に限らず技術であったりと自分が持っているものを他者に積極的に分けに行く事などがあります。
また岩沢に来る人や外の家に帰る人がいると積極的に歓迎会、お別れ会と題して集会を開いてくれます。
それらの人々を主人公として、話をして盛り上がり、楽しんで迎え、送り出す。そんなスタイルはとてもポジティブな活動で、コミュニティーの明るさを感じました!
岩沢で学んだ街を明るくする3つの方法
ここから大きく3つに分けて、日本全土が影響を受けてほしい岩沢の地域の中の良さを紹介していきます!
- 農家の幅広い仕事を知り、手伝いやすい環境を作る
- フレンドリーな雰囲気を店をつくる
- 誰でもが参加できる行事を通じてコミュニティーを広げる
一つひとつ見ていきましょう!
1.農家の幅広い仕事を知り、手伝いやすい環境を作る
米農家を例に、岩沢での農家の仕事の幅広さを紹介していきます。
まず私は農家の仕事について良く調べたこともなかったため、米農家は自分の所有する、もしくは借りている田で、機会のみを利用して耕地、苗植えから収穫まで行うことだけが仕事だと考えていました。
しかし岩沢で見学や体験をさせていただいた小泉農産さんの場合、そうではありませんでした。
岩沢地区は少子高齢化の影響で元々ある水田を人が管理できなくなるという事が起こっています。その土地を、他の管理できる家が管理する事はよくあるそうです。その場合、自分のスタイルで管理するためにいくつかある土地を統合したりする仕事も出てきます。
またこのように自身の管理する水田が増えると収穫などの作業の負担や、その他に水田に問題が起こった際の対応もとても大変であると、今回お世話になった別の方から話を伺いました。
その他に稲穂の中の実を食べる雀を追い払う必要や、ひえ(稲によく似た雑草)取りがあります。私は収穫前に行うひえ取りに農業用機械を使えないことを初めて知ったため、これらのあまりの仕事量の多さに驚きました…。
しかしこれ程仕事の多い農業に従事する方々が近くに住んでいるため、岩沢の子どもたちにとって農業は都心の子どもたちより身近なのではないかと思っています。
そのため、学校の授業を含めて地域のイベントとしても農家の手伝いを行う事で、大人になる前から仕事に対する意識を持ち始め、仕事の感覚も分かっていくのではないでしょうか?
また、このようなイベントには地域外から、岩沢の人々と関わりを持った人が積極的に会って手伝いに来ると聞きました。昔岩沢に住んでいた人や自分たちのような地域づくりインターンなどの交流行事で岩沢を知った人など様々な人間が参加できます。
外から来る人は、岩沢を知らない友人などを連れてくることも可能です。そうすれば、地域の存在をより多くの人々に知ってもらえ、人々の広い交流、再開の場にもなる事が分かりました。これは他の地域も参考にするべき、岩沢の優れた点だと考えています。
また、農家は育てた作物のうち、食料にできない部分(葉や茎など)も利用しています。これらは畑や水田で使うたい肥になります。今回お世話になった小泉農産は飼っているヤギにトウモロコシなどの葉や茎を食べさせて糞として肥料にしていました。
そしてヤギの糞について調べたところ取り扱いが比較的容易で、肥料として優秀であると分かりました。ヤギを小学校で飼う場合もあるそうで、ヤギの世話の手伝いを小学校で行い、農業との関係を学ぶということも出来ます。
最後に、農家は農業用の機械を購入して整備する必要もあります。岩沢の農家に聞くと、これらの機械は各家1代ずつ持ち、貸し借りはしない事の方が多いそうです。そのため、所有者全員に機械の知識が求められます。しかし全ての人が機械を好きになれない事も事実です。工業系の人間に協力を依頼することで、他の分野の人々との交流も生まれると考えられます。
2. フレンドリーな雰囲気を店をつくる
私たちが滞在していたのは、越後岩沢駅から徒歩で5分以内にある農家レストラン「山紫」の上の部屋でした。岩沢地区のレストランは数が多くありませんが、この山紫はその代表的存在でとても素晴らしいお店です。
岩沢の人々は、自分以外の家庭の人間とコミュニケーションを取る事に好意的な印象です。そのため山紫の中ではお客さん同士の会話がいつも絶えません。
また店員と客の仲も良いです。私が滞在中に山紫を利用する中で強く感じたのは、どの店もこんな雰囲気をしていたらクレーマーはいなくなるのだろうなという事です。
山紫は店内が都心のチェーン店などの食事処と違い、激しいせわしなさを感じることはありません。店員の方がお客さん一人ひとりを大切に思っていることが伝わってきます。
確かに山紫は他の岩沢地区のレストランとの競争はあまりないと思われます。その上お客の絶対数も都心と比較すると少ないため、一人ひとりの客の名前を覚えたり話をし合ったりする事は自然な事にも思われます。
しかし、岩沢以外の地域でこのような雰囲気のお店は見たことがありませんでした。山紫には岩沢地区の良さが詰まっています。岩沢の人々が自分の土地を「何もない」と話していることは多かったですが、それは目に見えるものだけで考えているためだと思います。
そして、人口が多い街のお店でも、岩沢 のような自然なフレンドリーな雰囲気を店側自ら作り出す事が大事だと思います。お店側がお客さんに温かいもてなしをするという方針を宣言して実現する事で、店員も客も、みんなが心地よい店を実現できると考えます。私はそれが、ひいては街の満足度にもつながると考えています。
3. 誰でもが参加できる行事を通じてコミュニティーを広げる
私たちはインターンのミッションとして、露天の五右衛門風呂の整備を課されていました。その過程で木を使ったDIYに近い作業や、風呂焚きの際の火起こしなどをしたのですが、自然に落ちている木を使って物を作れる点や、蒔きなどを使って本格的に火起こしをできる点などが都心と比べて行いやすく、子どもから大人まで自然と向き合った活動ができる事の良さを感じました。
作成した五右衛門風呂は、入浴の際に当然窯を使って水を温める必要があります。私は、例えばその際にイベントという形で、使用する薪を割ったり火を焚く作業を地元の子ども達に手伝ってもらうのはどうかと考えます。
街の人のアイデアで街に新しいものが誕生したならば、それをみんなで使っていこうとしてほしいです。このお風呂で言うと、作成者の岩沢アチコタネーゼの人々やこれまでのインターン生だけでなく地域のほかの人々も巻き込んでみんなで共有しようとイベントを企画することなどで、地域活動への参加がしやすく、希望の溢れる街になっていくと考えています。
地域のお祭りである「岩沢まつり」を滞在中に経験し、手伝いをさせて頂きました。屋台の運営をさせて貰えたり、ステージで自己紹介をさせて貰えたりと、今回が初めての岩沢訪問とは思えないほど深い関りが持てました。1でも書きましたが、大人同士が普段からの助け合いなどを通じて関わりを持っていると、その大人達と彼らの子ども達も知り合いになります。
その場合、お祭りの手伝いなどに誘いやすくなると感じました。僕が岩沢の子どもだったとしたら、地域の行事に関われているという事でとても嬉しく思います。説得力はないですが、実際の岩沢の子どもたちもお祭りとの関わりがないよりも楽しめるでしょう。
都心のお祭りなどだと、イベントスタッフになるためには許可をもらったりと手間のかかる作業が要ります。しかし岩沢祭りでは人と人のつながりの多さからその必要がないです。このように普段から関係性を構築することで大人、子どもともに地域の行事への参加のハードルが高くないという事は、岩沢の光る良さであり、他の地域も参考にするべきだと考えます。
終わりに
私は今、大学で自然と社会の関係や協働の理想について学んでいます。今回の記事では、私の「理想のコミュニティーを作りたい!」という夢をかなえるべく訪問した岩沢で、目にした地域運営のあり方、良さを共有しようと取り組みました。下手な文章もあったと思います。
今後、自分を含めた岩沢の関係者が次世代に向けて、家族も含めた人々のつながりを岩沢で実現し、地域を持続可能な存在であり続けさせたいと強く感じています。今回の滞在は自分にとって、とても楽しく、そして夢に刺激を与えてくれたものでした。仲良くしてくださった方々へ、本当に楽しい時間でした。ありがとうございました!