こんな山奥にバーが!?山奥の村で光を放つ「蔵BAR(小千谷市若栃集落)」に地元の大学生が潜入してきた!

新潟県小千谷市の山奥にある、人口約90人の若栃集落。

この若栃集落に、蔵を改装したバー、通称「蔵BAR」があると聞き、潜入してきました。

申し遅れましたが、私は小千谷市の隣の柏崎市にある大学に通う松尾と申します。この夏、ひょんなことから出会った「蔵BAR」について、私なりに紹介したいと思います。

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築150年の蔵を改装した「蔵BAR」

若栃集落は、JR小千谷駅から車で15分ほどの場所にあります。

山奥と言っても「車で15分なら意外と近いな」と感じられた方もいるかと思います。しかし小千谷駅のある平場からは、つづら折りの山道をぐるぐると登り、標高200mまであがるため、かかった時間以上に遠く感じます。

この若栃集落には、2010年にオープンした古民家民宿「おっこの木」があります。150年以上前に建てられたと言われており、国指定登録有形文化財に登録されるほどの立派な建物です。

この民家で使われていた「蔵」が今回紹介する「蔵BAR」です。蔵は150年以上の建物で、2004年の中越大震災で傾いたのを直して現在の形になっています。

内装も大きく改修し、キッチンやバーカウンター、トイレも整備されています。建物の改修は自分たちでDIYでやった部分も多かったそうです。こちらは皆さんで床板張っている時の様子です。

蔵BARオーナーは「元・新宿のホテルのバーテンダー」

蔵BARのオーナーさんは、若栃で生まれ育った細金創さん。年齢は40代と、山間部の集落では「若手」と言われる部類です。

創さんは、過去に渋谷でバーテンダーとして働いていた経験があります。高校卒業後に、大学進学で上京し、そのまま東京でホテルに就職をしたそうです。20代は東京で過ごし、2012年に地元へ帰ってきました。

創さんは若栃を「落ち着いていて、都会とは違った暮らしができる場」と話しています。大都会から山奥の集落への戻ってくることには、それなりの決意があったことでしょう。今は結婚して、奥さんと娘さんと若栃集落で暮らしています。

蔵BARのオーナーと言っても、仕事は別にあります。普段は、若栃集落でお米の生産・販売などを行う「株式会社Mt.ファームわかとち」での仕事がメインです。

蔵BARってこんなところ

この記事をここまで読み進めている方は「蔵BARってどんな使われ方をしているの?」など既に疑問がいっぱいだと思います。詳しく紹介していきますね。

集落を若い世代で盛り上げていくための場

蔵BARには「40代や、より若い世代で集落を盛り上げていきたい」「外部の人達が交流出来る建物になってほしい」という思いが根にあります。

確かにBARという場は、洋酒等が出てきて若い人が来やすい雰囲気を感じます。また建物の中は、花火の写真が展示されているなどギャラリーのようになっており、若い人が様々な目的で利用できそうです。

蔵BARのメインの機能であるお酒の提供では、洋酒に地元の野菜や果物等を加えたお酒が提供されるなど、ここでしか味わえない経験ができます。

開店しない蔵BAR?

蔵BARは、常時開店しているわけではなく、イベントで利用されているのが現状です。

ゆくゆくは、おっこの木のお客さんの利用や、蔵BARを目的に若栃集落へ訪れて欲しいという思いがあります。

この記事を読まれた方は、ぜひ「おっこの木」に宿泊していただき「蔵BARでお酒を飲みたい!」と伝えてみてください。またイベント利用も歓迎なので、ぜひご活用ください。

定期開催イベント「蔵BAR交流会」

蔵BARでは、現在定期開催している交流会があります。交流会は、創さんと西畑良俊さん(この春に若栃集落へ移住してきた男性)が中心となり、月2回金曜日の夜に開催されています。

開始時間は始まりは決まってますが、出入りは自由になっていて自由に過ごせる雰囲気になってます。蔵BAR交流会は、私も3度ほど参加してきたので、次章でその様子をお伝えします。

蔵BAR交流会に潜入してきた

私が蔵BAR交流会に参加したきっかけは、こめむすひの編集担当の阿部さんから「明日、蔵BAR交流会っていうのがあるから来てみない?」と誘われたことです。

そこで、次のおそるおそる参加してみました。最初の感想は意外な空間で「蔵の活用にこんな方法があるのか」と感じました。

交流会参加者は何者?

交流会に参加している人たちは、若栃集落や他の集落に住む若い方々(40代くらい)、中には若手の農家さんも参加していました。

参加者の中には、こめむすひで記事を書いている人も多くいます。面白い記事を書いていたりするのでぜひ見てみてください。

参加者は、それぞれ食材やお酒を持ち寄るのがルールのようで、タッパーに入ったお手製の料理やお米、日本酒などがテーブルいっぱいに広げられていました。

交流会の参加者へインタビュー

普段は近隣に住む人達が中心ですが、8月20日・21日の交流会では、東京からのお客さんもいました。東京からのお客さん4名いて、こめむすひ等が主催する「ライティング・トリップ」という取材ツアーで、おっこの木に宿泊していた皆さんです。

そこで、東京から来た4名の方に、蔵BAR交流会に参加した感想を聞いてみたので紹介します。

まず蔵BARの建物については、こんな感想があがりました。

「山奥に綺麗なBARがあって、普段は出会わない人に出会えてよかった」
「BARの中は、山奥にいる雰囲気じゃないのに、外出ると山奥にいるという不思議な空間になっていて凄い」
「地下感がありいい雰囲気になっていたり、こういうお酒が呑める場があるのはいい」

やはり異空間の感じを多くの人が受けたようですね。次に、交流の場としては、こんな声が聞かれました。

「外部の人々が夜も交流出来る場はいいな」
「人がいる場は来やすくなるし、いい交流の場になる」

宿に泊まって、地元の人と話せる機会はやはり貴重なようです。さらに宿泊者視点では、こんな意見もありました。

「宿泊する建物と別にあるので、眠たくなったり、疲れたら気軽に抜けられるのがいい」

確かに、古民家民宿は完全に仕切られた個室もないので、居間で飲み始めたら、なかなか抜きにくいというのは納得です。みなさん貴重なお話ありがとうございました。

取材を終えて

最後に「蔵BAR」の取材を終えての私の感想を書きたいと思います。

私は、取材をする前から蔵BARに参加していまして、こんな山奥に活躍している人がいてびっくりしたのと同時に、こんなひっそりとした会もいいなと感じました。

今回、取材をしてみて創さんの考えや今の思いが伝わってきました。そして蔵BARについて、熱い思いがあり、この場をしっかり考えていかないといけないことが分かりました。

私は、平場の農村集落ですら衰退している現状も見てきたので、それよりも環境が厳しい山奥にある集落が、農業生産法人を作ったり、人々が交流出来る場を作っていることに驚きました。そして様々な人が活動している現状が広がっており、魅力的であり素晴らしい集落だと感じました。

今回、取材を通して、いろんな人に会いました。その人々は様々な考えがあり、いろんな生き方をしていて、自分自身貴重な経験になりました。この場を借りて、お礼を言わせてもらいます。ありがとうございました。