お正月の料理と言えば「おせち」ですね。魚沼地方にはおせちに入れる料理だけでなく、煮物など様々な正月料理が伝わっています。この記事では、新潟県魚沼地方で伝わるお正月の料理を紹介していきます。
紹介している料理とそのレシピは、小千谷市岩沢地区のお母さんたちが作成した冊子「岩沢のごっつお」を元にしています。
新潟県魚沼地方のお正月の料理
農文協が発刊している日本の食生活全集という本があります。全国の食文化を紹介している本で、新潟については第15集「聞き書き 新潟の食事」で解説されています。
こちらの本は、主に旧川口町(現長岡市)での聞き取りを元にしており、大正時代の終わりから昭和の初めのころを再現したものとなっているそうです。
「四季の食生活」という章では、お正月の食事について以下のように書かれています。
※『』の引用部の月日は本の記述のままです。旧暦での記載もありますが、見出しの月日は新暦で記載しています。
- 1月1日 朝飯は雑煮、昼飯は大晦日と同じ祝い膳
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『二月一日、元日。朝、暗いうちに風呂に入り、衣服を改める。雑煮を年とり神さまに上げて、おまいりをする。雑煮の朝飯が終わったころ、分家の人たちが本家へ集まって年始を申し上げる。お神酒をくみかわしてから、総本家へ年始に上がるのが男衆の仕事である。昼は年とりと同じ料理の祝い膳がつくられる。』
お雑煮を食べるという習慣は現在まで変わりがありませんね。 - 1月3日 とろろ汁
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『三日の夕食は、中華にならないようにとろろ汁を食べる。するすると入るので何杯も食べられる。』
なぜ「とろろ汁」??? - 1月7日 七草雑煮、小豆がゆ
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『七日は七草で、野菜でもなんでも七種類のものを入れた雑煮を食べる、小豆がゆを食べる家もある。』
七草がゆの「七草」は一般的には決まっていますが「なんでも七種類」というのがざっくりしていて大変好感がもてます笑 - 1月11日 朝飯は小豆がゆ、夜飯は煮物・豆腐汁・白いまんま
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『十一日は蔵開きで、舟年始とか十一日正月ともいわれる。蔵の扉を開き、川舟の船首にこんぶ、松、豆がらと焼いた塩ざけのいちのひれをしばって酒を注ぎ、川仕事の安全をお祈りする。朝はもちの入った小豆がゆで、夜は煮もんと豆腐汁に白いまんまである。』
1月7日に続き「小豆がゆ」が出てきましたね。私食べたことないんですけど、、「小豆がゆ」については、次のレシピでも紹介していますのでぜひご覧ください。
新潟県魚沼地方のお正月の料理レシピ7選
小千谷市岩沢地区の「岩沢のごっつお」には、正月の料理レシピとして以下の7つが紹介されていました。
- 雑煮
- 松前漬(ハリハリ漬)
- 田作り
- ごぼうのキンピラ
- こくしょう(祝いごと)
- あずき粥(あつっけぇ)
一つひとつ見ていきましょう!
残したおきたい、伝えたい
岩沢のごっつぉ
(岩沢まごころ市)
小千谷市岩沢地区では、郷土に伝わる料理を「岩沢のごっつお」という冊子にまとめています。
冒頭では「地域の伝統食は文化であるとともに家族の健康を守る基本ではないかと思っています。」と綴られています。
冊子では「季節の料理」「豆料理」「漬物」「山菜」などのカテゴリに分けられて約70ものレシピが紹介されています。
1. 雑煮
まずは定番のお雑煮です。お雑煮は地域によって「もちの形」や「だし」が違うなんてよく言われますよね。新潟県は一般的に「焼いた角餅」を入れた「すまし汁」らしいです。
- 野菜
- 大根・・・大1本
- 人参・・・中1本
- 里芋・・・中10個
- ごぼう・・20cm
- 魚
- 鮭・・・・2切
- ほか具材
- つきコンニャク・・・半丁
- 豆腐・・・1丁
- するめ、干ぴょう・・・適宜
- 調味料
- だし汁・・・2L
(醤油200ml、みりん50ml、酒50ml)
- だし汁・・・2L
- 鍋にお汁を作る
- 鍋に「だし汁」と「するめ」「干ぴょう」を3cmの長さに切り入れて弱火で30分位煮立てる
- 野菜の下茹でをする
- 野菜を食べやすい大きさに刻んでさっとゆでる(豆腐、鮭、ごぼうを除く)
- ごぼうは笹がきにしてアクをとっておく
- 鍋を煮立たせ「野菜」「鮭」「豆腐」を入れる
- 好みに合わせて調味料で調整する
2. 松前漬(ハリハリ漬)
「松前漬」とは、北海道の郷土料理で乾燥させた「スルメイカ」と「昆布」をメインの具材とした保存食のようです。同じように語られる「ハリハリ漬」とは一般に、切り干し大根を醤油に漬けたものです。
小千谷の松前漬(ハリハリ漬)は、にんじん、数の子、ん?
- 野菜
- にんじん・・・中1本
- 干し大根・・・100g
(生大根の場合は一晩薄い塩水につけて使用する)
- 魚加工
- バラの数の子・・・1カップ
- ほか
- するめ・・・2~3枚
- 長昆布・・・約30cm
- 調味料
- 醤油、酒、みりん・・・各200ml
- 酢・・・60ml
- 数の子の塩抜きをする
- 塩水に3時間程度つける
- 具材を切る
- 「するめ」「干し大根」「人参」を5cmの短冊切りにする
- 「昆布」は5mmくらいに切り、水に10分つけて戻しておく
- 鍋に漬け汁をつくる
- 調味料を合わせて沸騰させる
- タッパに漬け汁と具材を入れる
- 漬け汁が覚めてから具材を入れる
3. 田作り
田作りとは、カタクチイワシの幼魚を乾燥させたものを言います。おせち料理には重箱の一の重にいれられる欠かせない料理です。
なぜ「田作り」なんておかし名前がついているかと言えば、田んぼで使われる肥料で最も高価なのが「イワシ」だったことから、五穀豊穣を祈願して名付けられたそうです。
レシピにある「ごまめ」とは、カタクチイワシの幼魚のことです。目玉が黒くゴマのように見えるから「ゴマの目→ごまめ」と変化したそうです。
参考:イワシなのに田を作る!?「田作り」の語源と意味とは?【2019年 おせち特集|ぐるすぐり】
- 魚加工
- ごまめ・・・100g
- 調味料
- 砂糖・・・おおさじ2
- 醤油・・・おおさじ3
- 酒・・・・おおさじ3
- 炒りごま・おおさじ1
- ごまめを電子レンジで5~10分温める
- 触ってカサカサ音がしたら、そのまま10分ほど放置
- フライパンに調味料を入れて熱する
- ごまめとゴマを入れてからめる
4. ごぼうのキンピラ
ごぼうのキンピラは、お正月に欠かせない料理でもあり、日常的にもお手軽に作れる副菜として重宝しますね。
- 野菜
- ごぼう・・・4本
- にんじん・・少々
- 調味料
- めんつゆ・・大さじ5~6
- ごま油・・・小さじ2
- 砂糖・・・・大さじ1
- 塩・・・・・小さじ1/2
- 野菜を切り、下処理をする
- ごぼうを4~5cmくらいに細かく切り一晩水にさらす
- にんじんを4~5cmくらいに細かく切る
- 野菜を炒める
- ごま油またはサラダ油で「ごぼう」「にんじん」をよく炒める
- 調味料で味付けをする
- 「砂糖」「塩」「めんつゆ」で味をつける
5. こくしょう(祝いごと)
「こくしょう」とは、魚沼地方ではこのような煮物料理を指します。魚沼以外の地域で言う「こうしょう」は、もっとお汁の入った料理のようですね。
- 野菜
- 里いも・・・6個
- にんじん・・1本
- ごぼう・・・1本
- ゆり根・・・1/2個
- ほか
- こんにゃく・・1/2丁
- 豆腐・・・・・1/2丁
- 干し椎茸・・・5枚
- ちくわ・・・・1本
- 干ぴょう・・・40cm
- 昆布・・・・・1本
- 調味料
- だし汁・・・600ml
- 「昆布」「干ぴょう」「干し椎茸」「こんにゃく」の下処理をする
- 「昆布」と「干ぴょう」は結び、水で戻す
- 「干し椎茸」はぬるま湯に砂糖ひとつまみ入れて戻す
- 「こんにゃく」を茹でてアクを抜く
- 野菜を切り、下処理をする
- 野菜はすべて乱切りにする
- 「にんじん」は塩でさっと茹でる
- 「ごぼう」は塩ひとつまみ入れた水でアクを抜く
- 「昆布」「干ぴょう」「干し椎茸」「こんにゃく」を水から15分くらい煮る
- すべての材料を入れ、煮立ったら弱火にしてゆっくり煮る
- 「にんじん」は他の材料が煮えてから加える
- 〆豆腐を作り、塩茹でする
- 豆腐を「巻きす」で巻く
- 〆豆腐を三角に切り、塩茹でする
- 盛り付ける
6. あずき粥
「小豆がゆ」は、米と小豆を炊きこんだおかゆです。ハレの日の定番料理として「家族に悪いことが起こらないようにという願い」から昔から食べられていたそうです
参考:小豆がゆ レシピ 土井 善晴さん|みんなのきょうの料理
- うるち米・・・400g
- あずき・・・・200g
- 水・・・・・・1L
- 調味料
- 砂糖・・・・・大さじ2
- 塩・・・・・・小さじ2~3
- 米を研ぎ、一晩おく
- あずきを洗い、たっぷりの水で10分ゆでる
- 水を替えてあずきが柔らかくなるまで煮る
- 研いだ米とあずきを合わせて、弱火に煮る
- 沸騰したら蒸らして、砂糖と塩で仕上げる
新潟県魚沼地方のお正月の料理づくりにチャレンジしてみよう!
本記事で紹介したレシピは、小千谷市岩沢地区のお母さんたちが作った「岩沢のごっつお」という冊子を参照しています。伝統的な料理は、地域の文化を残すことに加えて、家族の健康を守る大切なものです。こちらで紹介した料理をぜひ一つでも作ってみてください!作った感想があれば、ぜひこちらにコメント送ってもらえるとうれしいです。
残したおきたい、伝えたい
岩沢のごっつぉ
(岩沢まごころ市)
小千谷市岩沢地区では、郷土に伝わる料理を「岩沢のごっつお」という冊子にまとめています。
冒頭では「地域の伝統食は文化であるとともに家族の健康を守る基本ではないかと思っています。」と綴られています。
冊子では「季節の料理」「豆料理」「漬物」「山菜」などのカテゴリに分けられて約70ものレシピが紹介されています。