ご飯が余ったため冷凍にして保存したものの、いざ食べてみるとパサパサしていたり、においがしたりしてまずかったという経験はありませんか。
冷凍ご飯がまずいのは、冷凍の仕方が間違っているからです。
今回は、ご飯をおいしく冷凍するコツと上手に解凍する方法をご紹介します。家事の時間の節約に役立ててください。
冷凍のご飯がまずくなる2つの理由
冷凍ご飯は、食感がパサパサしていたり、においがしたりするから苦手という方も多いでしょう。冷凍のご飯をまずいと感じる理由は主に以下の2つです。
- 水分が失われるため
- 冷凍焼けするため
ご飯を冷凍保存するタイミングと保存期間の2つが大きなポイントです。
1. 水分が失われるため
冷凍ご飯をまずく感じる一番の理由は、冷凍する際にご飯に含まれる水分が失われるためです。ごはんは水分が失われると、パサパサとした食感となるためまずいと感じます。
ご飯を冷凍保存する際には、炊きたて熱々の状態ではなく、粗熱を取って冷ましてからタッパーなどの容器に入れるかラップで包むなどして、冷凍庫に入れるケースが多いのではないでしょうか。実は、これがご飯の水分が失われる原因です。
2. 冷凍焼けするため
ご飯は適切な方法で冷凍していても、徐々に味が失われていきます。ご飯に限らず食品は、長期間冷凍保存すると「冷凍焼け」という状態になります。
冷凍焼けとは、食品の中の水分が失われ、油脂が酸化して風味や食感が劣化することです。
ご飯は、そのまま置いておくと水分が蒸発して乾燥しますが、冷凍で保存しても時間の経過とともに乾燥が進みます。
冷凍ご飯の賞味期限はおよそ1カ月です。しかし1週間を過ぎるとどんどん味が落ちるので、できるだけ早めに食べきりましょう。
ご飯をおいしく冷凍するための5つのポイント
ごはんは冷凍の仕方を工夫することで、おいしいまま冷凍保存できます。
- 温かいうちに冷凍する
- 茶碗1杯分をラップで包む
- できるだけ空気を入れない
- におい移りしないラップを使う
- 急速に冷凍させる
一つひとつ見ていきましょう。
1. 温かいうちに冷凍する
炊きたてのご飯がふっくらとしておいしいのは、お米の中のでんぷんが水分を吸収して膨らんで糊のような粘りがある状態になるからです。これを糊化(こか)またはα化(アルファーか)と呼びます。
ご飯は、その後冷める過程でどんどん水分を失って、硬くなったりパサパサの食感になったりしていくのが特徴です。
そのため、おいしく冷凍するには、ご飯の水分が失われる前の温かいうちに冷凍することが大切になります。炊きあがりすぐにご飯をラップで包むことで、湯気となって蒸発しようとしていた水分をラップの内側に閉じ込められます。
炊きあがったらできるだけ早く、湯気が出ているうちにラップで包んで冷凍しましょう。
2. 茶碗1杯分をラップで包む
ラップで包む場合は、1食分のご飯茶碗1杯分ずつの小分けにしましょう。大きな固まりで冷凍すると、電子レンジで加熱する際に、温まり方にムラができてしまいます。
ごはんの冷凍用の容器も加熱ムラがでないように、ご飯茶碗1杯分のサイズが基本です。
3. できるだけ空気を入れない
最近では、ご飯を冷凍する便利な専用容器があって人気です。冷凍専用の容器でご飯を冷凍する場合には、容器に隙間なくご飯を入れて、空気が入らないようにしましょう。
空気が入った状態で冷凍すると、空気の中の水分が霜になってご飯につき味が落ちる原因になります。
ただし、ラップで包んで冷凍する際には、ご飯を押し固めたりせずにふんわりと包むように注意しましょう。ご飯をぎゅっと固めてしまうと、ご飯の粒の形が崩れてしまい、解凍した時にふっくらとした食感になりません。
4. におい移りしないラップを使う
におい移りしないラップとは、ポリ塩化ビニリデン製の製品です。ポリ塩化ビニリデン製のラップにはにおいや水分を遮断する性質があるため、ごはんの冷凍に適していると言えます。
例えば、以下の旭化成のサランラップは、ポリ塩化ビニリデン製なのでおすすめです。
一方、サランラップにはポリエチレン製の製品もあります。ポリエチレン製のポリラップは、周囲のにおいが移りやすい性質があるため、冷蔵庫内のにおいがご飯に移ってしまう可能性があるためおすすめできません。
例えば、以下の100円ショップに売られている製品など比較的安価な製品はポリエチレン製の場合が多いです。
またポリ塩化ビニリデン製のラップと比べると密着力が弱いため、ご飯の水分が失われやすいのもデメリットです。
5. 急速に冷凍させる
ご飯は水分が失われることで味が損なわれていきます。ごはんを急速冷凍すると、水分が蒸発する前に凍るため、炊きたてのおいしさのまま保存可能です。
ご飯を冷凍するには、ご飯をラップで平たく包んで、熱伝導率の高い金属製のバットに乗せると冷凍時間を短くできます。また、冷蔵庫に急速冷凍の機能がついている場合には活用しましょう。
冷凍のご飯の解凍手順3ステップ!2段階での解凍がおいしくなるポイント
冷凍ご飯を食べるには、解凍して温める必要があります。せっかく正しい方法でご飯を冷凍しても、解凍する際に失敗しては、ご飯の味は損なわれてしまいます。
冷凍ご飯をおいしく解凍するには、以下の手順で2段階にわけて温めるのがポイントです。
- 【1度目の加熱】ごはんがほぐれるまで電子レンジで加熱する
- 【2度目の加熱】ごはんをほぐして水分を飛ばしてから、再度加熱する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 【1度目の加熱】ごはんがほぐれるまで電子レンジで加熱する
冷凍されたまま、耐熱皿などの器に乗せて、600Wで1分半ほどほんのり湯気がでるくらい加熱するのがポイントです。
電子レンジに「ご飯温めモード」の機能があれば、それを使用します。「解凍モード」では、自然解凍と同じように水分が失われてしまいパサパサになるため注意しましょう。
2. 【2度目の加熱】ごはんをほぐして水分を飛ばしてから、再度加熱する
加熱したあと一度電子レンジから取り出して、箸などを使ってご飯をほぐし、余分な水分を飛ばします。その後、ご飯を茶碗に移してもう一度電子レンジに入れ、600Wで40秒ほど温めます。
冷凍ご飯を解凍すると、どうしてもベタベタした食感になりがちです。しかし一度ほぐすことで余分な水分を飛ばすと、ベタベタとした食感になることを防げます。
特にご飯の量が多い時には、途中でほぐすことで温める時間が短くなり、料理の時短になるとともに、解凍ムラを防げます。
冷凍したご飯がベタベタになる理由
冷凍したご飯がベタベタになるのは、冷凍する際に容器に詰めすぎたり、ラップで包んだ後にぎゅうぎゅうと押し固めたりするため、ご飯の粒が崩れることが原因です。
ご飯を冷凍する際に、空気が入ると空気に含まれる水分が凍って霜となり、ご飯の味を損ないます。しかし、空気が入らないようにと詰め込み過ぎると、ご飯がベタベタとなって、おいしくなくなるので注意しましょう。
そもそも冷凍するご飯の水分が多すぎる場合には、ベタベタな炊きあがりになっているときには、レンチンで水分を飛ばすとおいしくなります。平らなお皿などにご飯を広げて、ラップをかけずに1分ほど温めてみましょう。
冷凍したご飯ににおいが移っていた場合の対処方法
ご飯をおいしく冷凍するには、におい移りしにくいポリ塩化ビニリデン製のラップで包むことが大切です。
もしポリエチレン製のポリラップで冷凍してしまい、におい移りが気になる場合は、チャーハンやピラフ、雑炊などにして濃い目の味付けに調理しましょう。濃い目の味付けをすると、あまりにおいが気にならず食べられるのでおすすめです。
トマトケチャップで味付けして、子どもが大好きなオムライスにするのも良いでしょう。
ごはんは適切な冷凍と解凍でふっくらおいしい食感になる
冷凍ご飯がまずくなるのは、冷凍と解凍の仕方の問題です。
この記事でご紹介した方法で、ご飯を冷凍・解凍すると、炊きたてご飯のようなふっくらとしたおいしい食感になります。
冷凍ご飯は、電子レンジで温めるだけですぐに食べられるのでとても便利です。上手に使って、食事の準備の時短に役立てましょう。