今回伺ったのは小千谷市の新潟銘醸さん。
地元での大勢が集まる会やお祝いの席等には欠かせない「長者盛」という銘柄を造っていらっしゃいます。
今年の酒造りは9月末に始まったそうで、見せていただいた何本かの仕込みタンクでは、もろみが元気よくぶくぶくぶくと息をしているのが見えました。
今回はどんな素敵なお酒に出会えるでしょうか。
「長者盛」と「越の寒中梅」を2枚看板に続々新商品も開発
この日の朝は10℃を下回り、秋が深まるのはここからなのかなと思えた10月のある日
早朝の仕込みが終わり、ひと息つく時間帯に常務取締役の和田さんと、製造部長の星野さんにお話を伺いました。
蔵の始まりは昭和13 年(1938 年)。二代目吉澤仁太郎が 新潟県中蒲原郡に酒蔵を設立し、その2年後に小千谷市に移転して「長者盛」のブランドで本格的な酒造りを始めました。
いわゆる地元酒「長者盛」と、全国に名の知れた「越の寒中梅」を2 枚看板に、先代の先見の明を受け継ぐかのように時代のニーズを読みとりながら様々な商品を開発していらっしゃいます。
県内有数の自社プラントは精米へのこだわり
新潟銘醸さんの特徴は、玄米を自社内で原料処理できる精米プラントがあること。精米は酒造りにおいてまず最初の工程であり、とても重要な作業です。精米技術に長けた担当者がお酒の仕込みスケジュールに沿って計画的に洗米、精米し、となりの仕込み棟にエアホースで送り込みます。
製造量の多い酒蔵でも、自社で精米を行うところはそう多くはありません。この原料処理という工程をどれだけ大切にされているかが伝わってきます。
中に入ると1,200 キロ(20俵)が一度に精米できる大きな精米機がドドン!圧巻です。お酒の造り方により米の削り歩合を変えるのですが、精米歩合によっては60~70 時間もの長い時間がかかるそうです。お米が割れないようにゆっくりゆっくりと削っていくということです。
大吟醸クラスになると、削られたお米はまるく小さくなります。心白(米粒の中心にある白いうるみ部分・メインの成分はでんぷん)を残すことによって、きれいに、そして豊かに味わいを表現することができます。
また、精米行程で出た米ぬか、細かく粉状に削られた米粉もそれぞれ飼料や米菓の原料となり、大切に育てられたお米を無駄なく使うことが出来ます。
そしてもうひとつの原料である水は会社から湧き出る井戸水と、自然豊かな地域の水源からくみ上げた水の2 種類を使い分けています。これも大変な手間かと思いますが、味わいに大きな差が出る大切な作業になります。
米農家さんと酒造りをする意義
新潟銘醸さんの蔵人は、杜氏の星野さんを含め12 名。昔は農家や漁師である杜氏や蔵人たちが冬になると集団で蔵にやってきて、寝食を共にしながら酒造りをおこない冬を越すというのが通例でした。現在では通年従業員と季節従業員がいて、協力しあって酒造りをされています。
現在の季節従業員の中には、市内で酒米を作っている米農家さんが3名いらっしゃいます。主にコシヒカリなどの飯米と、新潟銘醸さんと提携して五百万石や越淡麗などの酒米を育てている方もいます。小千谷市は雪解けが遅いため、田植えはゴールデンウィーク後になるのが一般的です。そのため酒造りが終わる4月中頃までは、蔵でいっしょに仕事ができるそうです。
米農家さんは「兼業農家として通年会社に勤めるよりも、春から秋は農業、冬は酒蔵と季節で仕事が分けられるため、より米作りに専念できる」という良さを感じ得ておられるとのこと。
そして、なにより自分の手で育てたお米が、酒という製品に仕上がるまでを見届けられるのは、次の米作りへのモチベーションにもつながるのではないかと感じます。
また米農家さんに酒造りに参加してもらう良さは「その年の米の特徴を教えてもらえること」だと杜氏の星野さんは話されていました。お米は、毎年の気候などによってその特徴が変化します。その年のお米の特徴は、生育を見守ってきた農家さんだからこそわかるものです。
杜氏である星野さんは、繊細な原料を見極め、手をかけ、協力し合って醸されたお酒ができあがる瞬間はいろんな感情を超えて純粋に幸せや嬉しさを感じるそうです。
星野さんの落ち着きのある語り口に笑みが加わり、和やかな雰囲気の時間はあっという間に過ぎました。
若くきびきびした蔵人さんたちが印象的
そしてこのあと蔵の中を見学させていただきました。蔵の中では蔵人さんたちがきびきびと動き回り、元気よく挨拶をしてくれます。
従業員のみなさんは平均45 歳と、社内の雰囲気に若々しさも感じました。これから甑倒し(こしきだおし・お酒の仕込みが終わる3月末)まで約半年間、毎日毎時間集中し、気の抜けない時間を過ごすだろうと思います。例年、元旦だけは作業を休むそうですが、お酒の様子が気になって見に来てしまう蔵人さんもいるのだとか。
良いお酒の仕上がりにしたくて動く蔵人さんたちの行動ひとつひとつがタンクの中のお酒に良い影響を与えるのは間違いないと思いながら、新潟銘醸さんの新酒をいただくのがとても楽しみな気持ちになり、蔵を後にしました。
unsu/iがおすすめする新潟銘醸のお酒3選
今回の取材では、新潟銘醸さんのお取り計らいでいくつものお酒を試飲させていただきました。そこで私が新潟銘醸さんのお酒の中から3銘柄をご紹介したいと思います。
1. 百萬 長者盛
新潟銘醸さんの代表銘柄である長者盛の中でも、晩酌にぴったりの定番酒。
落ち着いた香りとやわらかなうまみが飲んでいてここち良く、いつでもあなたの日常に寄り添ってくれる。そんなお酒です。常温でもあたためても冷やしても良し。お好きな温度帯でお楽しみください。
2. 美禄(ビロク)長者盛 大吟醸
画像引用:美禄(ビロク)長者盛 大吟醸 | 新潟銘醸株式会社
酒米の最高峰といわれる山田錦を35%まで丁寧に磨き、蔵人たちの技術を尽くし醸された逸品です。淡く揺れる水面のような透明感、ひかえめな華やかさを放つ吟醸香。
少し冷やしてお召し上がりいただくと、すっと口の中にやさしく入り込みキリリとシャープに引いていく。思わず背筋がシャンと伸びるような上品で美しい味わいです。
これからの季節でしたら、お正月のお食事のシーンにおすすめです。おせち料理と一緒にお召し上がりください。
3. 越の寒中梅
画像提供:新潟銘醸株式会社
秋になるとお楽しみいただける濃厚な味わいで、普段のお食事にも合わせやすいお酒です。写真は、秋季限定販売の「ひやおろし」(令和4年度分は完売)。
今シーズンよりラベルが一新され、この季節にお部屋に置いておきたい、シンプルでとても美しいデザインです。
常温または冷やしてお召し上がりいただくことをおすすめされていますが、個人的にはあたためて濃厚さとキレを感じながら飲むのも好きだなと思いました!
完売必至 まぼろしのお酒「N-888」
「N-888」という昨年誕生したお酒があります。
長岡高専と共同開発され、フルーティーな香りと味わいが楽しめるという噂を聞き、はりきって新酒(プレミアム生原酒)の予約をして取材に臨みました。〈新感覚〉といわれる味わいについて詳しくお伺いしたかったのですが、造り方などは非公開とのこと。。
画像引用:N-888プレミアム 720ml | 新潟銘醸株式会社
少ししょんぼりしながらの帰り道、小千谷市内の蕎麦屋さんに入ると、販売終了になったN-888が置いてあるではないか!!この取材の最後に引き寄せたとしか思えない出会い。。取材の余韻に浸りながらおいしくいただきました。
N-888の新酒のできあがりは12 月~1 月頃とのことです!
みなさんも新感覚の味わい、ぜひお試しください!
小千谷市のおいしいお酒は「ふるさと納税」でお得に手に入れましょう
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