今回は、白米の栄養やカロリーについて注目していきます。
白米は、玄米や雑穀を加えたご飯に比べたら「栄養が少ない」と言われますが、栄養が全くないわけではありません。
また、糖質(炭水化物)は、運動のエネルギーとなる大切な栄養素です。太るというイメージで避けてしまっては、エネルギー不足になりかねません。
白米の栄養成分とは
白米にはどんな栄養が含まれているのか、しっかりと把握している方は意外と少ないのではないでしょうか。
白米の栄養成分の92%は「炭水化物(糖質)」です。しかし、他に「たんぱく質」や「食物繊維」など様々な栄養素が含まれています。
こちらでは、白米に含まれる基本の栄養成分について紹介します。
1. 炭水化物(糖質)
白米に一番多く含まれる栄養が炭水化物(糖質)です。「糖質=悪い」イメージがありますが、炭水化物は身体を動かすエネルギーとして必要な栄養素。
さらに、近年は炭水化物を冷やすとレジスタントスターチというデンプンが増えることが明らかになりました。レジスタントスターチは、食物繊維と同じ役割を担うと言われています。
腸内環境をよくし、エネルギーにもなる大切な栄養素です。
2. たんぱく質
ご飯茶碗一杯を150gとすると含まれるたんぱく質量は9gです。たんぱく質は髪や爪、肌などの身体をつくる材料だけでなく、ホルモンや酵素などになって体内での働きもします。
1日に必要な摂取量は、成人男性で65g、女性で50gです。
肉や魚などたんぱく質の多い食品と合わせて食べることで、よりよい食事を目指しましょう。
3. 食物繊維
食物繊維が少ないと言われ続けてきた白米ですが、「文部科学省の最新の栄養データ」では、白米にも1.5gもの食物繊維が含まれていると発表されました。
今までは捉えられていなかった、低分子水溶性食物繊維などを含めた検査方法に変わり、食物繊維量が見直されています。
食物繊維は、腸内環境を整えたり改善したりするのに必要な栄養素です。
4. カルシウム
白米には、150g中5mgのカルシウムも含まれています。カルシウムは骨や歯を形成するのに必要な栄養素。
人体に含まれるミネラルの中でも一番多いのがカルシウムです。不足すると骨の発育障害や骨粗鬆症の原因にもなります。
不足しがちなミネラル分なので、小魚や牛乳(乳製品)、海藻、根菜類、緑黄色野菜などと一緒に積極的に摂りましょう。
5. ビタミンB1
白米に含まれるビタミンB1は、150g中0.03mgのみです。ビタミンB1が不足すると、倦怠感や食欲不振などいわゆる脚気(かっけ)の症状に陥ります。
ビタミンB1は、エネルギー代謝の補酵素としてとても大切な栄養素です。豚肉や赤肉、大豆、ナッツなどに多く含まれています。
ご飯と豚肉の料理を合わせると、疲労回復にも効果的です。
6. 鉄
お米に含まれる鉄分は、150gで0.2mgです。鉄分はヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分かれます。
鉄分が不足すると、頭痛やめまい、食欲不振の原因となります。
主に赤身の肉や魚に含まれるヘム鉄は、吸収率もよく積極的に摂りたいところですが、メチル水銀も含まれているので、注意が必要です。
一方、野菜や米などに含まれる非ヘム鉄は、吸収率が低いので、吸収率をあげるビタミンCなどと一緒に摂ることが推奨されています。
7. 亜鉛
お米には、亜鉛が0.9mg含まれています。亜鉛は体内で生成できないミネラルですが、細胞の隅々に存在する大切な栄養素です。
さらに、免疫反応の調整にも一役買っているので、亜鉛が欠乏すると、免疫不全を起こすことが知られています。
亜鉛を多く含む食材は、牡蠣や赤身の肉、鶏肉、カニなどの魚介類などです。ご飯のおかずを工夫して一緒に食べましょう。
白米のカロリーや糖質量
次に、白米のカロリーや糖質量について以下の2つのポイントから解説します。
- 白米一膳あたりのカロリー量
- 他の主食と比べたカロリー量
正しい知識を身につければ、血糖値の急上昇を抑えて、効果的に食べることができます。
ダイエットの天敵とも言われる糖質を上手にバランスよく摂取しましょう。
1. 白米一膳あたりのカロリー量
茶碗1杯150gとすると、白米のカロリーは252kcal。炭水化物(糖質)は55.7gです。
一般的に、1日に必要なエネルギー量は「1,500~2,000kal」です(基礎代謝量などによって変わります。詳しくはこちらをご確認ください)。つmり1日に必要なエネルギー量をご飯だけで取るとしたら、6~8杯必要な計算です。
厚生労働省では「食事バランスガイド」を公開しているので、どのぐらい食べたらよいのか気になる方は読んでみましょう。
2. 他の主食と比べたカロリー量
例えば、食パン1枚(6枚切り)60g程度のカロリーは149kcal。また、パスタは一食分100gとすると150kcalです。
一見ご飯より少なく見えますが、パンやパスタは、バターやジャムなどカロリーの高いものと一緒に食べる傾向もあります。
精白米はタンパク質も含み、パンなどと比べるとアミノ酸スコアも88とよいのが特徴です。
パスタやパンは、それだけで食べることが少ないので、脂質量やカロリーにも注意を向ける必要があります。
主食のカロリーについては、関連記事の「太りにくい炭水化物ってある?種類や摂り方を詳しく解説します」で詳しく解説します。ぜひチェックしてみてください。
白米は消化吸収が良い
白米は、玄米や胚芽米、雑穀米と比べると栄養価は低いですが、消化吸収なども考えれば、バランスよい主食だと言えるでしょう。
お米にはエネルギーの源となる炭水化物が豊富に含まれています。炭水化物は、身体を動かすために必要な3大栄養素の一つです。
また、白米には筋肉の形成に必要なたんぱく質や、身体の機能を保つために必要なビタミン類、亜鉛や鉄などのミネラル分も含まれています。
「白米を食べると太る」と敬遠する人もいますが、粉ではなく粒のまま咀嚼して食べる白米は、比較的ゆっくりと消化吸収される食材です。
加えて、前述した通り、冷めてから食べるとレジスタントスターチというデンプンが増え、食物繊維のような役割も担ってくれます。
「ビタミンB1」を豊富に含む食材と合わせると効率よく栄養が摂取できる
白米のメインの栄養はもちろん糖質です。糖質(炭水化物)の吸収をよくするビタミンB1を豊富に含む食材を選ぶと効率よく栄養を摂取できるでしょう。
ビタミンB1は、エネルギーを作る解糖系やクエン酸回路で必要な補酵素として作用します。エネルギーを生産するには欠かせない栄養素です。
糖質(炭水化物)は、特に身体を動かす人や成長途中のお子さんには欠かせない栄養素。太ると敬遠されがちですが、バランスよく食事をするのがおすすめです。
ビタミンB1が含まれる食材は、豚肉やうなぎ、かつお節、べにざけなど。他にも豆類や穀物類にも多く含まれています。
ご飯にごまなどをかけて食べるのもよいでしょう。
白米の栄養を効率よく取り入れるレシピ
それでは、白米の栄養である「糖質」の吸収をよくする「ビタミンB1」を豊富に含むおすすめメニューのレシピを紹介します。
- 豚ひき肉のつくね
- うなぎととろろ丼
- ルーローハン
- ごまのチョレギサラダ
- ゴーヤとシャケの疲労回復チャーハン
一つひとつ見ていきましょう。
1. 豚ひき肉のつくね
ビタミンB1を豊富に含む豚のひき肉を使ったつくねを一品に加えてみませんか?
ビタミンB1が豊富な豚肉と一緒に白米を食べれば、疲労回復にも最適です。
2. うなぎととろろ丼
うなぎはご飯との相性も抜群。
昔から元気になるためにと土用の丑の日に食べられていたうなぎは、ビタミンB1が豊富です。
3. ルーローハン
台湾料理で人気のルーローハン。こちらも豚肉を使った料理です。
ビタミンB1の吸収を助ける玉ねぎやにらなどを加えてアレンジするのもよいでしょう。
4. ごまのチョレギサラダ
ごまやわかめの海藻類にもビタミン類が豊富です。また海藻にはマグネシウムも含まれます。
あっさりと食べたいときにおすすめ。同じ材料で中華スープにしても美味しいでしょう。
5. ゴーヤとシャケの疲労回復チャーハン
ゴーヤは不足しがちなビタミンCが豊富。豚肉で合わせてもよいのですが、そこはひと工夫。
同じくビタミンB1が豊富な鮭と一緒にチャーハンにしてみませんか?
白米をおいしく食べよう
白米を食べると幸せな気持ちになるのは日本人だからこそ。ダイエットしているからと敬遠するのではなく、糖質(炭水化物)はバランスよく食べるのがベストです。
白米を効率よく食べれば疲労回復にも最適。健康や成長のためにも欠かせません。
レシピを参考にしながら、炊きたての美味しい白米と一緒に、いろいろな料理を楽しみましょう。