健康のために日頃から玄米を食べている人は多いかもしれません。玄米は白米よりも栄養素が豊富なので積極的に食べたい食品ですが、玄米の残留農薬が心配という人もいるのではないでしょうか。
今回は玄米を安全に食べるための残留農薬の洗い方や、美味しく食べる方法について解説します。
玄米に含まれる残留農薬について
お米の栽培時に使用する農薬は、もみ殻だけでなくヌカにまで入り込んでいるため、玄米に残留農薬の不安を感じる人もいるでしょう。
農薬を使用して作られたお米には、微量の残留農薬が含まれていることは確かですが、食品は全て「残留農薬基準」をクリアしたものだけが販売されています。
残留農薬基準とは、人が生涯にわたり毎日摂取しても問題ないとされている「ADI(一日摂取許容量)」を超えないように設定されたものです。仮に残留農薬を摂取したとしても基準値内であれば健康には問題ないため、それほど心配する必要はないと言えます。
基準値は農薬の種類によって異なりますので、詳しい数値を知りたい方は「残留農薬基準値検索システム」を使って調べてみてください。
愛知県衛生研究所が行った1992~2001年の調査によると、市販の玄米から検出された残留農薬は全て基準値内であり、さらに基準の7%程度だったという研究結果が出ています。
玄米の残留農薬の洗い方や落とし方
玄米の残留農薬は、人体に影響を及ぼすほどの量ではありません。それでも気になるという人は、残留農薬の洗い方や落とし方を知って実践してみましょう。
- こすり合わせるようにして洗う
- ぬるま湯に長時間つけておく
一つひとつ見ていきましょう。
1. こすり合わせるようにして洗う
玄米を炊くときは白米以上にじっくり時間をかけて浸水しなければなりませんが、その前にまずはしっかり洗う必要があります。
玄米に付着しているゴミや汚れを落とすため一度水洗いをしたら、その後は両手ですくい、玄米同士をこすり合わせて洗うことがポイントです。
そうすることで、玄米の表面に小さな傷が付き、残留農薬が水に溶け出しやすくなります。玄米は洗っても水が白く濁りませんので、濁るまでゴシゴシと洗う必要はありません。
2. ぬるま湯に長時間つけておく
お米は浸水させることで、芯のないふっくらした炊き上がりになりますが、玄米の場合は残留農薬を落とす役割もあります。
また、玄米は表面が硬く吸水しづらいため、ぬるま湯で長時間吸水させると良いでしょう。浸水時間は少なくとも3時間程度は必要です。冬場は気温が低く、より吸水しづらいため5~6時間浸水させます。
浸水が終わったら、その水は捨てましょう。残留農薬が溶け出した水でもありますが、時間の経った水は雑菌が繁殖している可能性もあるため、水の入れ替えは必要です。
安心な玄米の選び方
玄米をしっかり洗っても残留農薬が心配な人には「有機農産物」もしくは「特別栽培農産物」として指定された玄米を選ぶと良いでしょう。
有機農産物とは、農薬や化学肥料を使用せず、自然の力のみで生産された作物のことです。お米に関しては2年以上農薬を使用していないことが条件に含まれているので、栽培を始めた年と翌年は有機栽培米として販売することができません。
また、第三者機関からの認定を受けると「有機JASマーク」の使用が許可されます。
特別栽培農産物とは、農薬を使用していないわけではなく、使用量を減らして栽培した作物のことです。その地域で作られている農薬を使った作物の50%以下であることが条件であり、有機農産物のように第三者の認定はありません。
現在日本では「無農薬」という表記で作物を販売することは禁止されています。その理由は、無農薬でお米を栽培していたとしても周辺の農家から飛散してくる可能性があるからです。
有機農産物は、周囲からの農薬飛散に対しても必要な措置を講じることが求められており、厳しい基準をクリアした作物だけが「有機」を名乗ることができます。
より安全な玄米を選ぶのであれば有機JASマークが付いた玄米を選びましょう。
本サイトの「日本全国お米図鑑」では、玄米食に適したおすすめのお米を紹介しているので、以下のバナーからチェックしてみてください!
玄米を美味しく食べる3つの方法
玄米は栄養価が高く、毎日の食事に取り入れたい食品ですが、白米に比べると硬くて食べにくいと感じる人もいるのではないでしょうか。玄米を家庭で美味しく食べる3つの方法を紹介します。
- 白米と混ぜて炊く
- ひとつまみの塩を入れて炊く
- 発芽玄米にして食べる
一つひとつ見ていきましょう。
1. 白米と混ぜて炊く
初めて玄米を炊く人や、苦手意識のある人におすすめなのが白米と混ぜて炊く方法です。玄米のみだと硬さやにおいが気になる人もいるかもしれませんが、白米と混ぜることで玄米の食感がアクセントとなり、食べやすくなります。
玄米の割合は好みの量で調整して問題ありませんが、最初は「白米3~5:玄米1」くらいの割合で白米を多めにした方が毎日続けやすいでしょう。
2. ひとつまみの塩を入れて炊く
先ほど紹介したように玄米にはミネラル成分である「カリウム」が多く含まれており、これが玄米独特のにおいや苦みの原因です。
玄米を炊くときにひとつまみの塩を入れると、カリウムが塩のナトリウムで中和され、苦みが少なくなり、玄米の美味しさが引き立ちます。
また、塩を加えることでヌカの層が柔らかくなるため、吸水率が上がり、普通に炊くよりもふっくらした美味しい玄米になるでしょう。
玄米に塩を入れる効果については、関連記事の「玄米に塩を入れる理由は?玄米を美味しく炊く5つのコツを解説」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
3. 発芽玄米にして食べる
玄米を長時間浸水させて、発芽玄米として食べる方法もおすすめです。発芽玄米は白米のような柔らかさで食べやすく、カルシウムや食物繊維を多く含む特徴があります。
玄米を発芽させるためには、12〜24時間水に浸してください。胚芽の部分が膨らみ、とんがりが出てきたら発芽玄米になった印です。
芽が出すぎてしまうと、成長のために栄養が芽に取られてしまうので、発芽後は水を切って冷蔵庫で保存しましょう。
発芽玄米については、関連記事の「発芽玄米のメリットとは?炊き方は?普通の玄米とどう違う?」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
玄米は正しい洗い方で残留農薬を落として美味しく食べよう
食品は国が定める残留農薬の基準以下のものしか販売されていないため、玄米の残留農薬は摂取しても人体に害はありません。
それでも気になる人は、こすり洗いをして長時間水に浸けて残留農薬を落とすか、農薬を使っていない玄米を選ぶことをおすすめします。
ビタミンB群や食物繊維を豊富に含む玄米は、現代人に不足している栄養素を補える健康的な食べ物です。今回紹介した玄米を美味しく食べる方法を参考に、毎日の食事に玄米を取り入れてみてください。