皆さんはお米をとぐ時の水温を気にしたことはありますか。特に冬は寒いので、水道水の温度も冷たくなり、億劫に感じますよね。
「お湯でといだ時と水でといだ時の炊き上がりは違うの?」「寒い時も水でとぐしかないの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は「お湯で米とぎをしてもいいのか」について詳しく解説します。
米をとぎ水は20℃未満のぬるま湯ならOK
「水で研ぐ」といっても、キンキンに冷やした水で洗わないといけないわけではありません。水道の蛇口から出る温度の15℃前後の水や、20℃程度のぬるま湯なら問題ありません。
20度以上の水で研ぐと、お米の成分の1つであるアミラーゼがでんぷんを分解し、旨味を逃してしまいます。また、20度以上の水は「糠(ぬか)臭さ」や「お米が固くなる」などの原因になると言われています。
でも20℃未満の水温でといでも問題ないのであれば、冬は「少しぬるい」と感じるくらいです。温度調節可能な蛇口であれば、冬の間はぬるめに設定してからとぎましょう。
米をお湯でといではいけない3つの理由
ここでは、お湯でといではいけない理由を3つ解説します。
- 旨味が逃げるため
- 糠(ぬか)臭くなるため
- 固くなる
一つひとつ見ていきましょう。
1. 旨味が逃げるため
お湯でとぐと、お米の旨味や甘味であるデンプンが逃げてしまいますからです。
お米がお湯で温められると、アミラーゼという成分がデンプンを分解し、とぎ汁に混ざり流れ出てしまうのです。
水でお米をとぐと4~5回でとぎ汁は半透明になりますが、お湯でおこなうといつまでも白いままなのはデンプンが流れ出ている証拠です。
2. 糠(ぬか)臭くなるため
お湯でとぐと、お米にヌカのにおいがつきます。
特に一番はじめのとぎ汁は、早く流さないとヌカ臭くなってしまいます。温度の高いお湯を使うことでさらに吸水率が上がるため、ヌカ部分まで吸収してしまいます。
その結果、ヌカの独特な臭みまでお米にとりこんでしまうのです。水でとげば臭みを吸収せずに、ヌカも洗い落とすことができますね。
3. 固くなる
お湯での研ぐまたは浸水すると、吸水率が悪くなり、芯が残った食感になります。お米が固くなる理由は、温められて粘り気が出て(糊化)お米の中心部への浸水を防ぐためと言われています。
兵庫大学環境人間学部・先端食品科学研究センターの調査によると、5度の水での浸水が最も吸水率が高くなったとの報告もあります。
冷たい水で米をとぐのがつらい時の対処法
冬になるたび、水道水から出る冷たい水でお米をとぐのは本当に辛いですよね。
そんな辛い思いをせずにすむ対処法を2つご紹介します。
- 米とぎ棒を使う
- 無洗米を買う
一つひとつ見ていきましょう。
1. 米とぎ棒を使う
「米とぎ棒」を使うと、直接冷たい水に触れなくてもお米を研げます。ネイルをしている方やとぐ時の力加減がわからない方、米とぎの時間を短縮したい方にも米とぎ棒はおすすめです。
形状はさまざまありますが、スティックタイプが使いやすいでしょう。泡立て器のような見た目をしていますが、米をとぐために先端は突起がついています。自宅で使うシャンプーブラシのような形状です。
スーパーの日用品コーナーや100円ショップでも販売されています。
使い方は簡単です。水を入れたらすぐクルクルと4回混ぜ、すぐ捨てます。次にクルクルとやさしく8回混ぜて水を捨てる、この流れを2~3回くり返します。余分な水をきって浸水のための水を入れて完了です。
2. 無洗米を買う
無洗米とは、とがなくても炊くことができるように糠(ぬか)をきれいにとったお米のことです。
とぐ必要がないから、米を計ったらすぐ浸水させて炊飯できます。寒い季節に水に触れることなく炊飯できるため、冷たい思いはしません。
また、とぐ時間のない方や大量にご飯をすぐ用意しなければいけない場合にも適しています。
無洗米を利用する際の3つの注意点
無洗米を選ぶ前に気をつけることが3つあります。
- 価格が精白米より高め
- 乾燥しやすい
- 無洗米を買う
それぞれ詳しくみていきましょう。
1. 価格が精白米より高め
無洗米は精白米よりやや割高です。肌ぬかまで取り除く手間がかかっているためです。
また肌ぬかが取り除かれている分、精白米よりも一粒が軽くて小さくなります。そのため、無洗米の方が正味量が多くなるのです。
たとえば精白米と無洗米で同じ10kgのお米を買った場合、重さは変わりませんが無洗米の方が400gくらい多く米粒が入っています。
2. 乾燥しやすい
乾燥から守るための肌ぬかを取り除いているため、乾燥しやすいです。また、吸水に時間がかかります。
乾燥が進むと亀裂が入りやすくなり、炊いたときに美味しさが半減してしまいます。購入したら早めに食べきるよう心がけてください。また寒い冬の間だけ、無洗米を購入して食べるなど工夫をするのもいいでしょう。
乾燥対策として、密閉容器に保存すれば問題ありません。乾燥しないよう無洗米専用の保存容器もあるといいでしょう。
3. 銘柄を自由に選べない
お米選ぶ際に銘柄にもこだわっている場合、無洗米がどこの銘柄も販売しているわけではありません。好みの銘柄のお米に変えることができないケースもあります。
無洗米のデメリットは、関連記事の「無洗米のデメリットとは|まずい?美味しく食べるコツを紹介」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
米とぎには常温または冷たい水を使いましょう
より美味しくお米を炊きたい場合、常温の水または冷水でとぎ、冷たい水で浸水させましょう。
お米のデンプンが糖にかわる温度は80度です。80度になるまでの時間が短いとデンプンが糖に分解されにくく、ご飯の甘みが逃げにくいのです。
つまり冷水をお米に吸収させることで、80度になるまでの時間を意図的に長くできます。ゆっくり温度を上げながら炊きあげることで、お米のデンプンがしっかり糖分に分解されrため、甘みのある美味しいごはんになるのです。
お米の性質を知り、普段のご飯をより美味しく食べられるよう自分に合った方法を試してみてはいかがでしょうか。