無洗米は研ぐ必要がない分、時短できるとして人気のお米です。しかし、実際に買ってみたものの「本当に洗わなくてもいいの?」と不安に思う方もいるでしょう。
本記事では無洗米は洗わなくてもよいのか、お米の構造や洗米の目的を踏まえながら紹介します。普通のお米との違いや、洗わないメリット・洗うデメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
無洗米はゴミを取り除く程度に洗えばOK
洗わなくてもよい無洗米を洗米すると、お米の表面にある旨味成分や水溶性ビタミンが流れ出ます。せっかく時短で炊けても、まずくて栄養が落ちたごはんになってしまうでしょう。
無洗米の加工方法によっては洗米が指示されている場合もありますが、基本的には洗わないのが無難です。まったく洗わないことに抵抗がある方は、ゴミを取りのぞくために、水を入れて軽くかき混ぜてすぐに流す程度にしましょう。
なお、無洗米をすすいだときに水が白く濁ったとしても、でんぷん質が溶け出たものであり、汚れや肌ぬかではありません。無洗米をおいしく食べたい方は、水が透明になるまで洗う必要がない点もしっかり覚えておきましょう。
無洗米がまずいと言われる理由やメリット・デメリットについて知りたい方は、関連記事の「無洗米のデメリットとは|まずい?美味しく食べるコツを紹介」をぜひ参考にしてください。
無洗米と洗米の違い!肌ぬかを取り除いたお米が無洗米
洗わなくてもよい理由は、洗米の工程と無洗米の構造を知るとよく理解できます。
- 洗米とは
- 無洗米とは
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.洗米:肌ぬかが残ったお米
そもそも洗米とは、お米を研ぐことで表面に残っている米ぬかを落とす意味合いがあります。昔は精米技術が今より劣っていたため、米ぬかが大量に残っていた分、しっかり洗い流す必要がありました。
しかし、現代では技術が進歩し、精米後に残る米ぬかが少なくなりました。そのため、洗米もお米の表面にうすく残っている肌ぬかや、細かいゴミを取り除く意味合いが強まっています。
また、洗米のなかでも「研ぐ」という動作は、お米同士をこすり合わせて細かい傷を付ける工程です。傷から水が入りやすくなることで浸水を促し、ほどよい硬さのごはんに炊き上げる目的があります。
2.無洗米:肌ぬかを取り除いたお米
無洗米とは、肌ぬかを取り除いたお米です。先ほど紹介したように、精米後のお米には肌ぬかがありますが、無洗米加工するとそれすらも残りません。つまり、洗い流すべきものがそもそもないため、洗米も不要となるのです。
とはいえ、肌ぬかや細かいゴミがゼロとは言えません。そのため、気になる場合は軽くすすぐ程度に洗うのも1つの方法です。
無洗米の基本的な炊き方や失敗したときの対処法について詳しく知りたい方は、関連記事の「無洗米が硬い!ふっくら炊けないの?失敗したときの対処法3つ」もあわせてチェックしてみてください。
無洗米を洗わないと環境保全につながる?
実は、無洗米のメリットは環境保全につながる点にもあります。川や海に流れ出す研ぎ汁の量が少なく、水質汚染のリスクが減るためです。そもそも水質汚染の主な原因物質は、以下の3つが挙げられます。
- 有機物
- 窒素
- リン
研ぎ汁に含まれるぬかには上記が含まれており、高度な下水処理場がある場所でも完全に取り除くことはできません。しかし、無洗米はぬか層がない分、洗米しても水質汚染の原因物質を排水するリスクを抑えられます。
また、無洗米加工時に必要なエネルギーが少なく、二酸化炭素(CO2)の排出が減る点も環境保全につながります。精白米から無洗米に替えると、茶碗1杯分で約4.6gのCO2削減が可能です。
近年ではSDGsへの取り組みが加速しているため、環境問題に関心がある方は精白米から無洗米に切り替えてみてはいかがでしょうか。
無洗米と普通のお米との違い
無洗米と普通のお米には、洗米の要不要以外にも下表のような違いがあります。
項目 | 普通のお米とくらべたときの特徴 |
---|---|
1kgあたりの米粒量 | 多い |
購入価格 | やや高い |
炊飯にかかる手間 | 少ない |
洗米に必要な水の量 | 少ない |
栄養価 | ビタミンB1やナイアシンといった一部の栄養価は2倍以上 |
無洗米のほうが米粒の量が多いのは、先ほど紹介したように肌ぬかがなく、1粒あたりの大きさが小さくなるためです。購入価格は割高な傾向にありますが、食べられる量が増える分、実質的な価格は同程度といえるでしょう。
無洗米と普通のお米との違いについて詳しく知りたい方は、関連記事の「無洗米って美味しい?普通のお米と比べて何が違うの?」もあわせてチェックしてみてください。
無洗米のように洗わないお米はある?
無洗米のように洗わずに済むお米を探している方には、アルファ米もおすすめです。アルファ米とは水やお湯を入れるだけでごはんができるものであり、主に非常食やアウトドア時に活用されています。
最近では以下に挙げるような味のバリエーションもあり、普段使いも可能です。
- 五目ごはん
- わかめごはん
- 山菜おこわ
- ピラフ
- ドライカレー など
小さい子どもがいて料理が難しいときや、疲労感で炊飯できそうにないときなどに有効活用するとよいでしょう。アルファ米のおいしい作り方について知りたい方は、関連記事の「アルファ米がまずい原因とは?美味しく食べる方法を考えてみた」もぜひ参考にしてください。
無洗米は基本的に洗う必要はない
無洗米は普通のお米と異なり、しっかり洗う必要はありません。むしろ、洗ってしまうと栄養や旨味成分が流れ出てしまい、まずいごはんになる可能性があります。
無洗米をおいしく食べたい方は軽くすすぎ、細かいゴミや残った肌ぬかを取り除く程度にとどめましょう。