省力化機械導入の必要性より効率的で肉体的負担の少ない方法の必要性から、様々な省力化機械の開発と導入が進んでいます。本稿では、水田畔や農道における草刈りの省力化に役立つ主要な機械として、自走式草刈り機とリモコン式草刈り機に焦点を当てて解説します。
農業における草刈りの省力化の必要性

水田畔(あぜ)と農道(のうどう)維持管理の重要性
水田畔は、水稲栽培において水の漏洩を防ぎ、適切な水位を維持するために不可欠です。農道は、農業機械の通行、資材や収穫物の運搬、そして農作業全般における重要なアクセス路となります。
これらの適切な維持管理、特に定期的な草刈りは、雑草の圃場への侵入を防ぎ、病害虫のリスクを低減し、排水を確保し、安全な通行を維持するために必要です。作物が栽培されない畔や農道であっても、雑草は繁茂し、その管理は大きな課題となっています。
伝統的な草刈り方法の課題と労働集約
伝統的に、草刈りは手持ち式の刈払機(草刈機)を用いて手作業で行われてきました。この方法は肉体的負担が大きく、時間がかかり、特に斜面や不整地では安全上のリスクも伴います。
手作業による草刈りは、10アールあたり8.9時間という多大な労働時間を要することが示されています。斜面での手作業による草刈りは重労働であり、特に高齢の農業従事者にとっては滑落や怪我の危険が伴います。
中山間地域のように傾斜のある水田が多い地域では、畔の管理作業は大きな負担となっています。畔の管理は農家、特に高齢者にとって大きな負担であり、耕作放棄につながる可能性さえあります。
畦草刈の省力化に効果的な3つの機械

こちらでは、畦草刈を省力化できる3つの機械を紹介していきます。
特徴 | 価格帯 | |
---|---|---|
スパイダーモア | 特に平坦な場所を刈るのに適している。刈り取った草を細かく粉砕する。 | 30~40万円程度 |
ウイングモア | 平坦な農道に加えて、斜面数十センチを同時に刈れる。 | 30~40万円程度 |
リモコン草刈り機 | 遠隔操作できるため、作業者の安全性を高め、労力を大幅に削減できる。 | 150~200万円程度 |
1. 自走式草刈り機

特徴
自走式草刈り機(OREC製品は「スパイダーモア」と言う)は、農道などの平坦な場所や斜面での草刈りが可能です。斜面を刈る際には、機械がずれ落ちるため少しテクニックが必要と言えます。手持ち式の刈払機と比較して数倍の作業能力があり、二面刈りタイプでは肩掛け式刈払機の8倍以上の能率で作業が可能です。

自走機能により、オペレーターの肉体的負担を軽減しつつ、広い範囲を効率的に刈り取ることができます。フリーナイフを搭載した機種が多く、刈り取った草を細かく粉砕するため、集草の手間を省ける点も効率化に貢献します。
ただし、膝丈以上に伸びた草を刈るには適していません。スパイダーモアを活用するには、こまめに草を刈ることおすすめします。
価格帯
価格帯としては、一般的なモデルで30万円前後、高性能な上位モデルではそれ以上の価格となることが多いですが、 耐久性と作業効率の高さから、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れていると言えます。小型で家庭向けのモデルも存在します.。
使用方法
使用方法は、主に斜面や不整地での草刈りに適しており、ハンドルの高さや角度を調整できる機種が多いため、斜面の状況に合わせて細かく設定できます。四輪駆動で安定性に優れたモデルが多く、スパイク車輪を備えた機種はより急な斜面にも対応可能です。
平坦な場所での使用も可能ですが, 背の高い草や密集した草地は苦手とする傾向があります。作業時はエンジンを始動し、作業クラッチを入れて使用します。斜面での作業は、上下方向よりも等高線に沿って横方向に行うことが推奨されています。使用後は清掃と定期的なメンテナンスが重要で、ミッションオイルの交換やエアクリーナーの清掃、刈刃の交換などが必要です。
2. 自走式草刈り機(2面刈り)

特徴
平坦な農道に加えて、斜面数十センチを同時に刈れる2面刈りタイプの畦草刈り機のことです(OREC製品は「ウイングモア」と言う)。農道からの作業が中心となりますが、肩掛け式刈払機と比較して作業時間を大幅に短縮できます。

価格帯
ウイングモアの価格帯は、スパイダーモアとほぼ同程度の30万円前後です。
使用方法方
使用方法は、比較的平坦な場所での草刈りに適しており、広い刈幅を活かして効率的に作業を進めることができます.。耐久性が重視されているため、長期使用に向いています. 刈高を調整できる機能を持つ機種もあります.。
3. リモコン草刈り機

特徴
リモコン草刈り機は、遠隔操作が可能なため、急な斜面や水辺、その他危険な場所での草刈り作業の安全性を大幅に向上させることができます. オペレーターは機械から離れて作業できるため、肉体的負担も軽減されます。一人のオペレーターで広範囲の刈り払い作業が可能であり、人力での草刈りに比べて効率的です。
価格帯
価格帯は比較的高価な機種が多く、一部の高性能モデルでは100万円を超えるものもあります。参考価格として150~200万円を超える機種まで幅広く存在します。
使用方法
使用方法は、手持ちのリモコンユニットを用いて、離れた場所から機械を操作します。前進・後退、旋回、ブレードの操作など、基本的な動作はリモコンで行えます。
急な斜面(40~45度程度まで対応可能な機種もあります)や水路際など、人が立ち入りにくい場所での作業に特に適しています。操作にはある程度の慣れが必要で、特に機械の前側から操作する際は、操作方向と機械の動きが逆になる点に注意が必要です。
作業前には、作業範囲から人やペット、障害物を取り除くことが重要です。リモコン送信機は水やほこりから保護する必要があります。バッテリー駆動のモデルもあり、適切な充電管理が必要です。メンテナンスとしては、他の草刈り機と同様に定期的な清掃や刃の点検に加え、リモコンやバッテリーの管理も重要になります。
小千谷市での取り組み

中山間地域等直接支払い制度に取り組む小千谷市広域協定運営員会では、2020年度から自走式畦草刈り機を複数台購入して、畦草刈りを省力化するための取り組みをはじめました。2025年度からは、リモコン草刈り機の導入を始める集落も複数出てきています。
詳しくは次の記事で紹介していきます。
