お米を洗おうとしたときに虫がいることに気づき、対処に困った経験はありませんか。とくに玄米は虫がつきやすく、放置すると環境によっては大量発生につながりかねません。
本記事では玄米に虫がついたらどうするか、原因や対処法を解説します。玄米につきやすい虫の特徴や正しい管理方法もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
玄米につきやすい虫の特徴
玄米につきやすい虫としてよく知られているのは、以下の2つです。
- コクゾウムシ
- ノシメマダラメイガ
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1. コクゾウムシ
コクゾウムシは3mmほどの黒い虫であり、名前のとおり象の鼻のように伸びた口を持ちます。その特徴的な口でお米に穴をあけて、卵を産み付けるやっかいな虫です。
また、成虫になったコクゾウムシはお米を内側から食い破るため、空洞やひび割れが生じてしまいます。
風味や食感が損なわれる原因にもなり、見つけたら大量発生する前に除去したい虫の1つといえるでしょう。
2. ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガは茶色と灰色の羽を持つ、1cmほどの蛾です。卵は0.5mmほどと非常に小さく、目視では見つけにくい特徴があります。
ノシメマダラメイガは玄米に残っている糠成分を食べたあと、表面に糸を張るケースも少なくありません。保存容器に蜘蛛の巣のような糸がある、あるいは玄米同士が糸でくっついている場合、ノシメマダラメイガがいると見たほうがよいでしょう。
玄米に虫がついた場合に考えられる3つの原因
玄米に虫がついた場合に考えられる原因は、主に以下の3つです。
- 稲穂や貯蔵中のお米についた虫が残っている
- 購入後の保存方法が適切ではない
- 虫が活動しやすい環境になっている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 稲穂や貯蔵中のお米についた虫が残っている
虫の卵は稲刈り前や貯蔵時に産み付けられることが多いため、そのまま残っていると購入後に孵化する可能性があります。
基本的には、変色やひび割れがあるお米はあらかじめ選別されます。しかし、虫の卵は小さく色も薄いため、完全に取り除くことはできません。
綺麗に見えるお米でも虫が混入している可能性はゼロではないため、のちほど紹介する方法で除去と保存を適切に行う必要があります。
2. 購入後の保存方法が適切ではない
購入時の袋そのままで保存することも、玄米に虫がつく原因になります。袋に細かく空いている通気穴から入り込んだり、虫によっては袋を食い破って中に侵入したりするケースがあるためです。
また、小麦粉や乾麺など、ほかの食品に発生した虫がお米につくケースもあります。玄米に虫をつけたくない場合は、ほかの食品にも同じ虫が発生していないかも確認すべきでしょう。
3. 虫が活動しやすい環境になっている
玄米につく虫は変温動物であり、気温が高くなると活動が活発化します。15〜25℃以上になるとひと月ほどで卵が孵化し、大量発生につながりかねません。
とくに、キッチンなど温度が上がりやすい場所で常温保存していると、虫の混入・発生が多くなるため注意が必要です。
玄米に虫がついたらどうする?今すぐできる対処法3選
虫がついていても食べられますが、人によってはアレルギーを起こす恐れがあります。そもそも「小さいとは言っても虫は虫、絶対食べたくない」「でも、全部捨てるのはもったいない」という方も多いでしょう。
ここでは玄米に虫がついたらどうするか、今すぐできる対処法を3つ紹介します。
- たっぷりの水で丁寧に洗米する
- 1匹ずつつまみ出す
- 外で陰干しす
一つひとつ見ていきましょう。
1. たっぷりの水で丁寧に洗米する
洗米時にたっぷりの水に浸すと、虫が浮き上がって除去しやすくなります。コクゾウムシなどによって中が空洞になった玄米も浮いてくることから、風味が落ちた米粒を取り除き、おいしさを維持するうえでも役立ちます。
複数回に分けて洗米することで、大抵の虫は洗い流せるでしょう。
2. 1匹ずつつまみ出す
虫の発生が少ない場合は、箸やピンセットを使って1匹ずつつまみ出すのも有効です。とくにコクゾウムシやノシメマダラメイガの幼虫・成虫は目視で確認できるため、取り除きやすいでしょう。
ただし、卵は非常に小さく見落とす可能性が高いため、不安がある場合は陰干しすることをおすすめします。
3. 外で陰干しする
玄米につく虫は明るい場所が苦手なため、外で陰干しすると一気に除去できます。
具体的な除去手順は、以下のとおりです。
- 軒下に新聞紙やビニールシートを敷く
- 1.の上にお米を広げる
- 時間を置きながら数回かき混ぜる
- ざるでこす
- 保存容器に移す
ただし、干しすぎると玄米が乾燥し、ひび割れによる風味低下を引き起こします。長くても3〜6時間ほどに留め、陰干し後は綺麗な保存容器に移し替えましょう。
玄米は白米よりも虫がつきやすい?
結論から言うと、玄米は糠成分が残っているために白米よりも虫がつきやすい傾向にあります。
糠成分にはミネラルやビタミンなどの栄養が豊富で、虫にとっては格好の餌です。玄米のほか、パスタなど油分を含んだ穀物商品で増殖しやすい特徴もあります。そのため、虫を除去したい場合は玄米以外の食品にも発生していないか、よく確認するとよいでしょう。
玄米に虫がつかないようにするための正しい管理方法
玄米に虫がつかないようにするためには早く食べきるのはもちろん、以下に挙げる管理方法を守ることが大切です。
- 高温を避ける
- 密閉性の高い保存容器に入れる
- 防虫グッズを活用する
玄米の賞味期限や上手な炊き方について知りたい方は、関連記事の「玄米の賞味期限は?どのくらいもつ?日持ちさせる保存方法とは」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
1. 高温を避ける
玄米を保存する際は、高温の環境を避けましょう。玄米につきやすい虫は15℃以下になると活動が鈍り、増殖スピードが落ちるためです。
もっとも理想的なのは、冷蔵庫の野菜室です。ほどよい温度・湿度が一定に保たれる環境のため、虫の活性化を抑えられます。ひび割れや変色なども起きにくい分、おいしさを保ちやすい点もメリットです。
野菜室でお米を保存するメリットなどについて知りたい方は、関連記事の「米は野菜室に保存するのが正解?温度や湿度など最適な環境とは」で詳しく紹介しています。あわせてチェックしてみてください。
2. 密閉性の高い保存容器に入れる
玄米につきやすい虫の中には袋を食い破るものもいるため、下記のような作りがしっかりとした密閉性の高い保存容器に入れましょう。
- 米びつ
- タッパー
- ペットボトル など
また、中身を入れ替えるときは、必ず容器を洗って乾燥させてください。糠成分が容器の中に残っていると虫の餌となり、大量発生を引き起こしかねないためです。
きちんとした保存容器を使い、かつ冷蔵庫で保存すれば、虫の発生は大きく減らせるでしょう。
3. 防虫グッズを活用する
冷蔵庫にスペースがないなどで常温保存する場合は、防虫グッズの活用がおすすめです。もっともスタンダードな米唐番のほか、以下のような家にあるものでも防虫効果が期待できます。
- 唐辛子
- にんにく
- わさび
- ローリエ
- 新聞紙
「米唐番」はにおい移りの心配がなく、手軽に利用できるのでおすすめです。
ただし、入れっぱなしにするとカビが発生する恐れがあるため、とくに生の食材は定期的に入れ替えましょう。
虫除けに役立つグッズの効果について詳しく知りたい方は、関連記事の「米の虫除け!家にあるもので上手に保管するにはどうしたらよい?」を参考にしてみてください。
玄米に虫がついたら慌てず対処しよう
玄米についた虫は人体に無害ではあるものの、気持ちの面でおいしく食べられません。炊飯まで時間がある場合は陰干しし、丁寧に洗米することで大抵の虫は取り除けます。
玄米を長くおいしく食べたい方は、正しい管理方法で虫の混入や孵化を防いでいきましょう。