お米は水の量や浸水時間によって、炊き上がりが変わってきます。水切り(ザル上げ)も、ごはんのおいしさを引き上げる工程の1つです。特に鍋で炊く際は、必ず押さえておきたい工程とされています。
本記事ではお米の水切りとは何か、意味や行われる理由を紹介します。具体的な手順や注意点のほか、水切り後の保存方法についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
お米の水切り(ザル上げ)とは?
お米の水切りはザル上げとも呼ばれ、その名のとおり浸水後のお米を一旦ザルに上げる工程です。昔はよく行われていましたが、現代では鍋で炊く場合や炊き方にこだわりがある場合以外は行われなくなりました。
なぜ昔は必要だったのか、現代で不要になった理由とともに、それぞれ見ていきましょう。
1. 昔行われていた理由
お米の水切りが昔行われていたのは、お米に含まれる水分が少なく硬いものが多かったためです。水切りによってわざと乾燥させ、細かいヒビを入れることで浸水を促進させる意味合いがありました。
2. 現代では不要とされている理由
現代はお米の品種改良も進み、コシヒカリなどやわらかく粘り気が強いお米が多くなりました。通常の浸水だけでもおいしい炊き上がりになるお米が増えた結果、水切りの必要性も徐々に減ってきたのです。
ただし、水切りは浸水後のお米をザルに上げることで、炊飯時に必要な水の量を正確にはかれるメリットがあります。そのため、鍋で炊くなど、よりおいしさを求める場合は水切りを行うケースもまだまだ多いのが現状です。
参考:米穀安定供給確保支援機構|洗ったお米は、ザル上げしないほうがよいのでしょうか。
【3ステップ】お米を水切りする手順
お米の水切りは、以下に挙げる3ステップでできます。
- 浸水時間を十分取る
- お米をザルに上げる
- 炊飯器や鍋に移す
なお、お米の基本的な炊き方を振り返りたい方は、関連記事の「お米に芯が残ったらどうする?食べられる?原因と5つの対処法」もあわせてチェックしてみてください。
1.浸水時間を十分取る
お米をおいしく炊き上げるためには、水切り前の浸水時間を十分確保することが大切です。目安としては夏場が30分以上、冬場は1時間半ほどになります。
よりおいしいごはんを目指すなら、浸水時の温度にも注目しましょう。水温が低いほど浸水はゆっくりと進み、ふっくらとした炊き上がりになります。具体的には氷を入れたり、冷蔵庫で浸水させたりするのがおすすめです。
浸水のコツや役立つアイテムについて詳しく知りたい方は、関連記事の「お米の浸水時間は?冷蔵庫で長時間おけばワンランク上の炊きあがり」をぜひ参考にしてください。
2.お米をザルに上げる
浸水させたあとはザルにお米を移し、水を切ります。水切りは、5分程度で十分です。水切りしてから5分以上経過すると、お米の表面が乾燥します。乾燥しすぎるとお米が割れてしまい、炊き上がりが悪くなるため注意が必要です。
水切りから炊飯までに時間が空いてしまう場合は、水で濡らした付近などをザルにかぶせ、乾燥を防ぎましょう。
なお、近年ではボウルとザルが一体化して、スムーズに水切りができる専用の道具も発売されています。また、100均では手を濡らさずに洗米・水切りできる米とぎスティックなども販売されてるため、有効活用するとよいでしょう。
3.炊飯器や鍋に移す
水切り後は炊飯器や鍋にお米を移し、水を加えます。水切りを行って炊飯する際に注意したいのは、水の量です。
水切りしない場合は、浸水を見越した量を最初に入れます。しかし、水切りする場合は一旦水を捨てるため、浸水後のお米にあわせた加水が必要です。具体的には、下表のような違いがあります。
最初に入れる水の量 | 水切り後に入れる水の量 | |
---|---|---|
水切りしない場合 | お米:水=1:1.42 | — |
水切りする場合 | 水の高さがお米から1~2cm上になる程度 | 浸水米と同じ量 |
たとえば1合(150g=180ml)のお米を炊く場合、水切りしないときは210ml〜220mlの水を浸水前に加えます。
一方、水切りする場合は浸水前に水を厳密にはかる必要はありません。浸水後はお米の重さをはかり、同量の水を加えます。お米1合であれば浸水1時間後は約200gとなるため、水も200g(200ml)となります。ただし、好みの食感に応じて加減するとよいでしょう。
なお、お米と水とではグラム(g)やミリリットル(ml)の扱い方が異なります。違いや正しいはかり方を知りたい方は、関連記事の「お米の計量カップがないときは?代用できる?簡単な測り方4選」もあわせてチェックしてみてください。
お米を水切りする際の注意点
「どうせ水切りでザルを使うから」と、ザルでお米を研ぐのは避けてください。ザルを使って研ぐと、網の目とこすれてお米が割れてしまい、炊き上がりが悪くなります。
洗米と浸水はボウルを使い、水切りのタイミングになってからザルへ優しく移すようにしましょう。
水切りしたあとのお米を冷蔵庫で保存する方法
水切りしたあとのお米は「洗い米」として、冷蔵庫に保存することも可能です。洗い米のメリットは、急速炊飯でも芯が残りにくく、ふっくらとおいしく炊ける点にあります。冷蔵庫で保存する方法は、主に以下の2つです。
- ボウルを下に重ねて、ラップをする
- ビニール袋に移して封をする
冷蔵庫で保存した洗い米は衛生面の観点から、2〜3日以内に炊飯して使い切りましょう。なお、冷凍庫での保存はお米が割れる原因となり、炊き上がりが非常に悪くなります。冷凍庫で長期保存したい場合は、一旦炊き上げてラップなどで小分けにしてから入れましょう。
冷凍保存のコツや解凍方法について詳しく知りたい方は、関連記事の「冷凍ご飯がまずいのはなぜ?おいしく食べられる解凍のコツ」をぜひ参考にしてください。
お米を水切りするとワンランク上の炊き上がりに!
水切りはお米をザルに上げることで浸水が促されるうえ、炊飯に必要な水の量を正確にはかれるメリットがあります。その結果、ふっくらとした炊き上がりになるため、よりおいしいごはんを食べたい方におすすめです。
また、水切り後は洗い米として保存することで、数日分の炊飯を時短できます。炊き方にこだわりたい方はもちろん、手軽においしいごはんを食べたい方はお米の水切りをマスターしましょう。