近年気候変動の影響から短時間に多量の雨が降る「ゲリラ豪雨」など、水害のリスクが高まっています。
水害リスクに備えるため、田んぼが広がる農村地域では「田んぼダム」という取り組みが広がっています。この記事では「田んぼダムとは何か?」「新潟県や小千谷市での田んぼダムの取り組み」について紹介します。
田んぼダムとは「田んぼに水を貯めて洪水を防ぐ」取り組み
田んぼダムとは、田んぼが元々持っている貯水機能を活用して、大雨の際に川への水の流出を抑制する取り組みです。簡単に言えば「田んぼになるべく雨水を貯めて、洪水を防ごうという」というものです。
田んぼダムの取り組みは、今では全国に広がっていますが、初めに取り組んだのは新潟県の旧・神林村(現・村上市)です。
以下の図の通り、平成14年に471haの田んぼではじまった取り組みは、現在16,429haまで広がっています。
田んぼダムの仕組み(小千谷市谷内地区の取り組みから)
田んぼダムはどのような仕組みで、水を田んぼに貯めるのでしょうか。こちらでは、新潟県小千谷市の谷内地区の取り組みから紹介します。
谷内地区では、以下の写真のように田んぼの排水路の入り口に板を落とすことで、水路への水の流出を抑制しています。
田んぼダムの仕組みは、様々あります。新潟県のWebサイトには、以下のように小さな穴の開いた板を落とすことで排水管を細くする方法をとっている地域もあります。
田んぼにはお米の生産だけではない多面的な機能がある
田んぼはお米という食糧を生産する場ですが、今回ご紹介した田んぼダムをはじめとして社会に欠かせない様々な機能があります。
お米の生産者は年々減少しており、この50年間で7割減少し、2020年には約70万戸となりました。特に中山間地と呼ばれる、棚田が広がる地域での減少幅はもっと大きくなっています。
田んぼをどのように維持していくのか、はたまた一定程度は無くなることを想定していくのか、その判断が求められています。