お米をおいしく炊き上げるためには、浸水時間を十分とることが大切です。しかし、長ければ長いほどよいというものではなく、場合によってはおいしさを損なう原因にもなります。
本記事ではお米の浸水時間が長すぎるとダメな理由や、最長で何時間までよいかを紹介します。季節別・道具別のベストな浸水時間や、長めにとったほうがよいケースもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
お米の浸水時間が長すぎるとダメな理由
お米の浸水時間が長すぎるとダメな理由は、雑菌が繁殖するためです。
雑菌は、水に溶け出した栄養素をエサにして繁殖します。つまり、浸水時間が長ければ長いほど溶け出す栄養素も増え、雑菌も多くなってしまうのです。
雑菌自体は加熱される間に殺菌されますが、なかには胞子や毒素が残るものもあります。なかには、炊き上がったご飯の色や匂いが変化するケースも少なくありません。
安全でおいしいご飯を食べたい場合は、浸水時間を長く取りすぎないようにしましょう。
参考:米穀安定供給確保支援機構|夏場にごはんを炊く際に、気をつけなければいけないことはありますか。
お米の浸水時間は最長で何時間まで大丈夫?
お米を長く浸水させるとしても、9時間程度におさめましょう。たとえば、夜11時ころに寝る際、お米を研いで浸水させた場合、翌朝8時ころまでに炊き上がると理想的です。
また、上記のようにはじめから長時間の浸水が想定される場合は、ひとつまみの塩を入れておくと雑菌の繁殖を抑えられます。
なお、お米は2時間ほどで飽和状態になるため、「浸水させればさせるほど、おいしいご飯になる」というわけではありません。とくに夏場は雑菌が繁殖するリスクが高まるため、次項を参考に適度な時間で切り上げましょう。
お米の浸水時間はどれくらいがちょうどよい?
お米の浸水時間はどれくらいがよいか、2つのパターンに分けて紹介します。
- 季節別のベストな浸水時間
- 道具別のベストな浸水時間
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 季節別のベストな浸水時間
季節別のベストな浸水時間は、下表のとおりです。
夏場 | 冬場 | |
---|---|---|
白米・無洗米 | 30分 | 1~1.5時間 |
玄米 | 5~6時間(可能なら8時間) | 12時間 |
玄米は精白米よりも食物繊維が多い分、より長い浸水時間が必要になります。
なお、新米と古米とでもベストな浸水時間は変わってきます。新米は水分が多く含まれている分、通常より短い浸水時間でも問題ありません。一方、古米は乾燥して硬くなりやすいため、炊き上がりの状態によっては浸水時間を長くするのも1つの方法です。
新米・古米の見分け方について詳しく知りたい方は、関連記事の「古いお米の見分け方|どれくらい大丈夫?新米との違いも解説」もぜひ参考にしてください。
玄米の浸水時間やおいしく炊く方法について知りたい方は、関連記事の「玄米の浸水時間はどのくらい?時短で炊く方法も紹介」もあわせてチェックしましょう。
2. 道具別のベストな浸水時間
ご飯を炊く道具として代表的なのは炊飯器と土鍋ですが、いずれも浸水時間は前述した「季節別のベストな時間」と変わりありません。
ただし、炊飯器によっては炊飯時間の中に浸水時間が設けられているものもあります。また、土鍋は時短で炊ける点がメリットであり、炊飯器の早炊きモードよりも味や食感が落ちにくいのが特徴です。
道具に応じて、浸水時間を短縮あるいは削減するなど試行錯誤してみましょう。なお、土鍋での基本的な炊き方について詳しく知りたい方は、関連記事の「土鍋ご飯なら浸水なしでも大丈夫?下準備のひと手間がおいしさの近道」もあわせてチェックしてみてください。
お米の浸水時間を長めにしたほうがよいケース
お米の種類や季節以外にも、浸水時間を長めに取るほうがよいケースがあります。具体的な例としては、以下の2つです。
- お弁当に入れて持っていく場合
- 長時間の保温を予定している場合
- 炊き込みご飯を作る場合
浸水時間を長くとるとご飯がパサパサになるのを防ぎやすくなるため、お弁当や長時間の保温に向いています。
また、炊き込みご飯のように調味料が入ると吸水が阻害されるため、通常よりも長めの浸水時間が必要です。ただし、常温で長く浸水させると水が傷む可能性があります。真水で浸水させたあとに調味料を入れるか、次項で紹介する冷蔵庫での浸水がおすすめです。
お米の浸水時間中は冷蔵庫に入れるのがおすすめ
浸水時間中にお米を冷蔵庫に入れると、水温が下がることで以下のような変化が現れます。
- お米の中心部までゆっくりと水が行き渡り、粘り気が強い炊き上がりになる
- 栄養素の溶け出しが少なくなり、ご飯の甘みが増す
冷蔵庫に内がまやボウルを入れるスペースがない場合は、氷を入れるのも1つの方法です。冷蔵庫を有効活用した浸水について詳しく知りたい方は、関連記事の「お米の浸水時間は?冷蔵庫で長時間おけばワンランク上の炊きあがり」もぜひ参考にしてください
浸水時間以外も!お米をおいしく炊く水のチェックポイント
お米をおいしく炊き上げるうえで留意したポイントは、以下の2つです。
- 水の種類
- 水の量
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.水の種類
水の種類は下表のように、米粒の状態によって使い分けるとよりおいしいご飯になります。
お米の種類 | おすすめの水 |
---|---|
米粒が柔らかい(新米など) | ・アルカリ水 ・電子イオン水 ・井戸水 など |
米粒が硬い(古米など) | ・酸性水 ・オゾン水 ・水道水 など |
ただし、水の種類によっては保温時間が長くなると黄ばみが発生し、香りも変わってしまう可能性があります。
黄ばみが発生する原因や対処法について知りたい方は、関連記事の「お米に黄ばみがある!炊く前からある原因とは?深堀り解説」もあわせてチェックしてみてください。
2.水の量
炊飯時に必要な水量の目安は、下表のとおりです。
お米:水の量 | 1合(180ml)炊く際に必要な水の量 | |
---|---|---|
新米 | 1:1.1 | 約200ml |
古米 | 1:1.2 | 約210ml |
無洗米 | 1:1.5 | 約230ml |
玄米 | 1:1.7 | 約288ml |
お米の状態や種類によって、若干の差があることがわかります。上記よりも少なすぎると硬い食感になり、逆に多すぎるとベチャベチャとした炊き上がりになります。
ご飯をおいしく食べたい方は、好みの食感に合わせて水の量も適宜調整していきましょう。
お米の浸水時間が長すぎると雑菌が繁殖する原因に
お米を浸水させることは大切ですが、長すぎると雑菌が繁殖します。場合によっては風味が変わり、おいしさが落ちる原因にもなりかねません。
安全かつおいしいご飯を毎日の食卓で楽しみたい方は、季節や道具に合った浸水時間を意識しましょう。