玄米を炊くときは「塩を入れると良い」と言われていますが、なぜ塩が必要なのでしょうか。今回は、塩を入れることで玄米が美味しくなる理由と、炊飯器で美味しく炊くコツについて解説します。
玄米は白米に比べると硬くてパサパサしたイメージが強いかもしれません。しかし、正しい方法で炊いた玄米は、ふっくら柔らかく食べやすいため、毎日の食事に取り入れやすくなります。
玄米に塩を入れる2つの理由
玄米を炊くときは、塩をひとつまみ入れると美味しく炊けます。こちらでは、玄米に塩を入れると美味しく炊ける以下の2つの理由について解説します。
- 玄米特有の苦みやにおいを抑える
- 水の吸収率をあげる
一つひとつ見ていきましょう。
1. 苦味やにおいを抑制するため
玄米には健康維持に欠かせないカリウムが豊富ですが、カリウムは苦味やえぐみを感じる原因となります。しかし、塩を加えるとカリウムの苦味を中和できるのです。
また、塩を入れると玄米のアクが抜けるので、においが気にならなくなり食べやすくなるでしょう。
2. 水の吸収率をあげるため
玄米は皮が硬く、水を吸いづらい特徴があります。しかし、塩を入れて炊くと玄米の糠層(ぬかそう)が柔らかくなり、熱が加わったときに皮が破れやすくなります。破れたところから水分が吸収されることで、ふっくら炊き上げることができるのです。
さらに、塩を加えると沸点が上がるため、芯まで加熱された美味しい玄米が炊けます。
塩だけではない!一緒に炊くと玄米が美味しくなるもの
玄米に塩を入れて炊くことは一般的によく知られている方法ですが、塩以外にも入れることで美味しくなる食材や調味料があります。こちらでは、おすすめの3つの食材・調味料を紹介します。
- ヨーグルト(におい消し、吸水促進)
- 梅干し(風味アップ、殺菌効果)
- 日本酒(におい消し、風味アップ)
一つひとつ見ていきましょう。
1. ヨーグルト:ヌカの臭いを抑えてくれる
玄米にヨーグルトと聞くとびっくりしてしまう人もいるかもしれませんが、ヨーグルトに含まれる乳糖という成分は玄米独特のヌカの臭いを消してくれます。
乳酸菌の作用によって玄米が柔らかくなるため、水を吸いやすくしてくれる効果もあり、普通に炊くよりもモチっとした仕上がりになります。また、元々玄米は栄養価の高い食品ですが、ヨーグルトを加えることによってアミノ酸の一種であるギャバが増えると言われています。
ヨーグルト加糖タイプではなく「プレーンヨーグルト」を使用しましょう。量は、玄米1合に対して小さじ1~2くらいで試してみてください。炊き上がりの味に影響することはありません。
2. 梅干し:殺菌効果もある
梅干しと玄米を一緒に炊くことで、梅味がほんのりついて風味が増します。また、梅には殺菌効果があるため食中毒予防にも効果的です。夏場やお弁当に良いでしょう。
梅干しは減塩のものや調味梅干しではなく、塩分濃度の高い昔ながらの梅干しがおすすめです。梅干しの個数はお好みで調整してください。
3. 日本酒:うまみアップがアップする
日本酒のアルコール成分には消臭作用があるため、玄米のにおいを抑えてくれる働きがあります。さらに、日本酒の糖分によって玄米の甘みが引き出されたり、風味が増したりするため、食べやすくなるでしょう。
日本酒がない場合は、料理酒でも代用できます。炊飯するとアルコールが飛ぶので、子どもやお酒が苦手な方でも安心です。
本サイトの「日本全国お米図鑑」では、玄米食に適したおすすめのお米を紹介しているので、以下のバナーからチェックしてみてください!
玄米を炊飯器で美味く炊く5つのコツ
玄米は白米と異なる特徴があるので、炊飯器で炊くときは玄米ならではの方法で炊かなければなりません。家庭の炊飯器で玄米を美味しく炊くコツを5つ紹介します。
- しっかりこすり洗いをする
- 3時間以上は浸水する
- 多めの水で炊く
- 塩の量はひとつまみでOK
- 炊飯器の玄米モードで炊く
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. しっかりこすり洗いをする
玄米を美味しく炊くためには、下準備が重要です。まずは玄米に残っているもみ殻の残りや汚れを落とすために水で1〜2回洗いましょう。
水洗いが完了したら、こすり洗いを行います。ポイントは、玄米を両手ですくって玄米同士をこするようにすることです。表面の硬い層に小さな傷をつけることで、水の吸収率が上がります。
2. 3時間以上は浸水する
続いて浸水を行いますが、玄米は吸水しづらいため長時間の浸水が必要です。目安として3時間以上は水に浸けましょう。気温が低い冬場はさらに長く浸けた方が良い場合もあります。
白米は通常30~60分で浸水が完了するため、比較すると長く感じるかもしれませんが、玄米を柔らかく炊くためには浸水の工程は欠かせません。
3. 多めの水で炊く
水は、玄米の重さに対して約1.77倍入れましょう。
玄米はもみ殻を取り除いただけのお米です。外側はさまざまな層で覆われているので、白米以上に多くの水を吸収します。そのため、玄米を炊くときは水の量を多くする必要があるのです。
下の写真は2合の玄米を炊く際の水の量です。
玄米2合(300g)に1.77をかけると、水の量は531gです。
玄米2合(300g)+水(531g)=831g
こちらはアイリスオーヤマの炊飯器ですが、水の量は釜に記されている玄米の水の量とぴったり一致します。
玄米の硬さには好みがありますので、調整するようにしてください。
玄米の水加減については、関連記事の「玄米を炊く際の水加減は1.77倍・白米は1.42倍!混ぜて炊くときの目安も紹介!」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
4. 塩の量はひとつまみでOK
加える塩の量は、玄米1合につきひとつまみ程度です。ひとつまみとは、親指・人差し指・中指でつまんだときの量で、約1gになります。多く入れればその分美味しく炊けるわけではないので、注意してください。
ただし、ひとつまみでは塩分はほとんど感じられないため、ほんのり塩味で食べたい人は塩の量を増やしても良いでしょう。
塩を入れるタイミングは、浸水のときでも炊飯直前でも構いません。そっとかき混ぜて水に溶かしてから炊飯しましょう。
5. 炊飯器の玄米モードで炊く
炊飯器に備わっている玄米モードは、浸水時間込みで設定されていたり、時間をかけてじっくり炊き上げる特徴があります。
しかし、メーカーによっては事前に浸水時間が必要な場合もありますので、使用している炊飯器の取扱説明書を確認してみてください。
また、玄米に白米を混ぜて炊く場合は、白米モードで炊きましょう。玄米モードで白米を炊くと、柔らかくなりすぎてしまう可能性があるからです。
玄米モードがなければ、3時間以上浸水させた玄米に多めの水を入れて白米モードで炊きます。どちらのモードであっても、炊き上がりはすぐにかき混ぜず、10分以上蒸らしてからさっくり混ぜるのがポイントです。
玄米は鍋で炊くとより美味しい
炊飯器の方が手軽で簡単に食べられますが、「玄米をもっと美味しく食べたい!」と思っている方は、鍋で炊いてみましょう。
鍋炊きの場合、コンロの強い火力によって玄米一粒一粒に熱が伝わるため、旨味が凝縮してふっくら炊き上がります。
下準備は炊飯器で炊くときと同じですが、鍋炊きは絶妙のタイミングで強火から弱火に変えるなど、火加減の調整が必要です。そのため、慣れるまでは難しく感じてしまうかもしれません。
しかし、鍋で炊くことによってできる「おこげ」は、玄米特有のプチプチした食感とよく合い、炊飯器で炊く玄米とは違った美味しさを味わうことができるでしょう。
普段使っているアルミやステンレス素材の鍋でも簡単に炊けますが、土鍋や圧力鍋、ごはん鍋などを使うと、より本格的で美味しい玄米が炊けます。
塩を入れて美味しい玄米を炊こう
玄米に塩を入れて炊く理由は、塩の成分によって苦味やえぐみを抑えることと、玄米の皮を破れやすくして吸水率を上げるためです。
玄米を上手に炊くためには浸水や水の量が重要ですが、塩を加えるという簡単な工夫をするだけで、いつも食べている玄米が一段と美味しくなります。
塩を入れること以外にも、一緒に炊くと美味しい食材や、鍋で炊くなどアイデアはさまざまです。玄米独特の食感やにおいが苦手な人は、今回紹介した方法を試して美味しい玄米を炊いてみましょう。