あきたこまちやコシヒカリなどのブランド米は、美味しいというイメージがあります。
ですが、ブランド米がどのように決められているのか、はっきりと知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は、美味しいお米を選ぶために「ブランド米とは何なのか?」について紹介します。
ブランド米とは
日本には、たくさんのブランド米があります。その数はなんと300種類ほど。各県が開発した地域の特徴を活かしたお米もあれば、全国で作られる人気の品種なども登場します。
まずは、「ブランド米」について詳しく見ていきましょう。
1. ブランド米の意味や定義
ブランド米には、2通りの意味があるとされています。
まずは、お米の銘柄を示すための意味。あきたこまちやコシヒカリ、ゆめぴりかなど人気のあるお米を示します。
もう一つは、ブレンド米ではない1品種のお米を示すための意味です。ブレンド米は、文字通りいくつかのお米を混ぜ合わせた商品のことを言います。
実のところ、ブランド米の定義となる基準は特にありません。美味しいお米を食べて欲しいと自然と広まっていった言葉とも言えるでしょう。
2. ブランド米の種類
ブランド米の種類を考えるには、農林水産省で登録されている品種で捉えるとわかりやすいでしょう。
令和3年に農林水産省で登録されている「水稲うるちもみ及び水稲うるち玄米」は、893銘柄。その中で、主食用として作られているのは、300銘柄くらいです。
つや姫・ササニシキ・キヌヒカリ・ななつぼしなど、たくさんの品種があります。
それぞれの県や農家が美味しいお米を作ろうと開発を重ね、いろいろな種類のブランド米が誕生しました。
ブランド米が増える理由
美味しいお米が増えるのは嬉しいですが、なぜこんなにもブランド米が増えたのか、疑問に思う方も少なくないでしょう。
ここでは、ブランド米が増えてきた経緯について紹介します。
1. 米あまりで買い手優位の市場
1人のお米の年間消費のピークは1962(昭和37)年。その後1970年代以降は、お米の消費は減少傾向にあると農林水産省で発表しています。
買い手優位の市場では、よりよいものが選ばれやすく、美味しくないお米の価格は下がる傾向が顕著です。
年々、米あまりが問題となると同時に、お米農家は、自分たちのお米を買ってもらえるよう、市場の競争を生き抜くために美味しいお米を作り始めました。
ブランド米は農家さんたちの努力の結果とも言えるでしょう。
2. 気候変動リスクの分散
ここ数年、気候変動による大規模自然災害や気温上昇などが問題視されています。これらの影響は農作物にも大きく関わる重大事項です。
今まで通りの農作物を育てているだけでは、自然に負けて収穫できない事態にもなりかねません。
高温に強い品種や、倒れにくい品種など、それぞれの産地で問題に取り組んでいるからこそ、新しい品種が生まれています。
気候変動による災害は、いつ来るかもわかりません。新しいお米を作り育てることは、リスクの分散につながります。
3. 栽培の効率化
栽培を効率化するために、田植えの時期をずらせる品種や病害虫に強く農薬の散布を減らせる品種などの開発が進められています。
栽培の効率化が進めば、少ない人数でも農業を行うことが可能です。近年の農業の担い手が少なくなっている問題にも有効と言えるでしょう。
未来への可能性を広げるためにも、栽培の効率化は必要不可欠。新しい品種を開発することで、未来への展望が開けます。
ブランド米の選び方
ブランド米は、口コミやランキングの評価をみて購入する方も多いですが、自分の好みのブランド米を選べているでしょうか?
ブランド米の選び方は、主に3つ。
- 食感や味覚などの好み(もっちり/あっさり・やわらかい/しっかり)
- 生産地や銘柄で絞り込む
- 無農薬など栽培方法にこだわる
どんなお米が好みなのかわからないという方は、試しにさまざまな地域のお米を食べてみるのもおすすめです。
お米の銘柄については、関連記事の「お米の種類は何種類ある?自分にピッタリの銘柄米の見つけ方」で詳しく解説しています。参考にしてみてください!
最近は通販でお米の食べ比べセットも販売されているので、順に食べてみるとわかりやすいでしょう。
土や水が違えばお米の味わいも変わります。同じ品種でも産地によっても違いがあります。
加えて、栽培方法にも注目したいところ。毎日食べる主食の一つだからこそ、こだわるのも楽しいでしょう。
「米の食味ランキング」ってなに?
ブランド米を選ぶ基準として参考になるのが、毎年発表される「米の食味ランキング」です。
「米の食味ランキング」では、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準として、炊いたごはんの味やつやなどが比較評価されます。
都道府県が奨励する銘柄で、作付面積が基準以上のお米が対象です。米穀類の円滑な流通や消費を目的とする「日本穀物検定協会」が行っています。
ただし、流通しているお米が全てその評価通りの品質であると保証しているわけではありません。
日本穀物検定協会の公式サイトにおいて、各県で評価され公開されているので、どんな品種を選ぶか迷っているときに参考にするとよいでしょう。
食味ランキングについて、関連記事の「特A米の銘柄一覧!味の傾向は?おいしいお米の選び方」で詳しく解説しています!ぜひチェックしてみてください。
3年連続特Aを獲得した人気ブランド米7選
それでは、「米の食味ランキング」で特Aと評価される人気ブランド米を紹介します。特Aは、基準米より特に良いと判断されたお米です。
人気のブランド米はたくさんあるので、ぜひ参考にしてください。
1. 魚沼産コシヒカリ
山々の雪解け水と昼夜の気温差を活かした新潟県魚沼地域のコシヒカリは、多くの人が美味しいお米と認識しているのではないでしょうか。
食味ランキングでも、登場した平成元年から特Aと評価されています。一度だけA評価に落ちたときには驚きのあまり報道されたほど人気のお米です。
魚沼産コシヒカリは、もっちりとした粘りや嚙むたびに甘味を感じるのが特徴。艶やかな魚沼産コシヒカリは、料亭などでも選ばれています。
魚沼産コシヒカリについては、関連記事の「極上の新潟県産コシヒカリ25選!ネットやふるさと納税で手に入れる方法を解説」でおすすめの商品を紹介しています。ぜひチェックしてみてください!
2. ゆめぴりか
北海道が誇る美味しいお米「ゆめぴりか」。寒い環境を乗り越えて、ゆめぴりかが商品として市場に出たのは、2008年からです。
他の地域に負けない美味しいお米を作りたいという気持ちが実りました。2011年から、食味ランキングで特Aも受賞しています。
ゆめぴりかの特徴は、甘味と程よい粘り、柔らかさです。ANA国際線ファーストクラスの機内食に採用されたこともあります。
3. 晴天の霹靂
晴天の霹靂(せいてんのへきれき)は、青森県で開発されたお米です。2015年にデビューして以来、食味ランキングでも特Aの評価を維持しています。
上品な甘さとキレと粘りのバランスがよい晴天の霹靂は、青森の海の幸、山の幸ともよく合うお米です。
青森県が10年をかけて研究・育成してきた晴天の霹靂。晴天に突如現れる稲妻(霹靂)のような存在になって欲しいと名付けられました。
青森を代表する美味しいお米です。
4. ひとめぼれ
全国各地で作られるひとめぼれが生まれたのは、1991年。宮城県で誕生したお米です。冷害に強い美味しいお米をと開発されました。
名前の由来通り、出会った瞬間に美しさと美味しさに一目惚れしてしまうことで全国に広がっていきます。
全国でもコシヒカリに次いで作付けが多いひとめぼれ。甘さと粘り、うまみ、香りなど、バランスのよいお米で、冷めても美味しいと評判です。
産地によっても違いが出るので、自分好みの地域を探してみてはいかがでしょうか?
5. つや姫
つや姫が誕生したのは山形県。開発には10年の月日がかかっています。つや姫の特徴は、粒そろいで、つや・粘り・旨み・甘味、加えて、他のお米と比べても艶やかで白いことです。
粒が揃い、しっかりとしているので、口あたりがよいと評判のつや姫。こちらもデビュー以降、食味ランキングで特Aの評価を得ている品種です。
つや姫の生産者は、山形県のブランド化戦略推進本部長の認定を受けた農家のみ。しかも、有機栽培米と特別栽培米に限定されているので、安心して食べることができるでしょう。
6. にこまる
「ヒノヒカリ」に代わる品種として開発された「にこまる」は、九州ブランド米として西日本で広がっているお米です。特に長崎県のにこまるは、食味ランキングでも特Aの評価を得ています。
コシヒカリより大きく粒揃いで、ふっくらと炊きあがる「にこまる」。もちもちとした食感と口に入れたときの甘さも美味しいと評判です。
「にこまる」は、暖かい場所でも安定した収穫量と美味しさが魅力。太陽をいっぱいに浴びてスクスクと育ったお米を楽しみましょう。
7. 夢しずく
夢しずくは佐賀県特有のお米です。佐賀県の脊振山系の湧き水を使って育てられています。
佐賀県の中でも、寒暖の差がある地域で育てられているので、旨みが凝縮し特徴あるお米として育ちました。
つやのよさと粘り気から、和食との相性も抜群と地元の人たちにも人気です。嚙むたびに甘さが感じられ、柔らかさもあります。
ひとめぼれとキヌヒカリから生まれたこだわりのお米を、ぜひ味わってみてください。
ブランド米を使い分けてみよう
ブランド米には粘りがあり食べ応えのあるものもあれば、あっさりとした味わいが特徴のものもあります。
濃い味のおかずには粘りと甘さのあるコシヒカリ、ツヤっと粒揃いのひとめぼれは炊き込みご飯になど、食事に合わせてお米を使い分けるのもおすすめです。
さまざまな品種のお米が手に入るようになった現代だからこそ、お米の味わいを楽しんでみませんか?