玄米がダイエットに効果的という話を、一度は聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
玄米は白米のごはんと比べると、GI値が低いため食後の血糖値が急激に上がりにくいのが特徴です。
この記事では、玄米がなぜダイエットに効果的なのか、その理由を解説します。
そもそもGI値ってなに?
「GI値」は、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)を略した言葉です。GI値は、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示しています。
つまり、炭水化物が体内で分解されて糖質に変わるまでのスピードを表す数値です。
1. GI値の分類
一般的に、GI値の低い食品は、食後に血糖値が急激に上昇することを抑制する効果が期待できると言われています。
逆にGI値の高い食材を食べると血糖値が急に上がってしまいます。
食品に含まれるGI値の分類は、大きく分けて3つです。GI値が「70以上の食品は高GI食品」「56〜69は中GI食品」「55以下は低GI食品」と定義されています。
しかし、実際にはGI値が55以下の低GI食品か、それ以上のGI値の食品なのかという考え方で大丈夫です。
2. 血糖値の上昇が脂肪の蓄積につながる
血糖値が上昇すると、体内に血糖を下げる働きがあるインスリンが分泌されます。
このインスリンの分泌が追いつかなくなると、食後に時間が経っても血糖値が下がらない高血糖の状態が続きます。血液中の糖の濃度が、慢性的に高い状態が「糖尿病」です。
インスリンには、血糖値を下げる働きの他に、「脂肪を作る」「脂肪の分解を抑制する」という働きもあります。
高GI食品を摂取することで、インスリンがたくさん分泌されると、脂肪が蓄積されて肥満の原因にもなります。
3. 低GI食品は太りにくい体質になる
低GI食品は、血糖値の上昇が緩やかなため、適度な量のインスリンが分泌されて、ゆっくりと糖が吸収されていきます。
そのため、食事で低GI食品を摂るようにすると、体質が改善されて太りにくくなると言われています。
低GI食品を摂取することで、糖尿病などの生活習慣病を予防することが可能です。
健康的な生活を送るためにも、低GI食品を摂取する食生活を意識しましょう。
玄米はGI値が低いって本当?
では、私たちの主食であるごはんやパン、麺類などのGI値はどのような数値なのでしょうか。
調理法によってGI値は変化しますが、参考にしてください。
主な食品 | |
---|---|
高GI値 | 白米(88)・うどん(85)・食パン(95)・フランスパン(95) |
中GI値 | パスタ(65) |
低GI値 | 玄米(55)・そば(54)・春雨(26)・全粒粉小麦パン(50) |
このように白米のGI値が88で高GI食品、玄米はGI値が55で低GI食品に分類されています。
血糖値が気になる方は、普段の食事の主食を、白米から玄米に切り替えてみてはいかがでしょう。
本サイトの「日本全国お米図鑑」では、玄米食に適したおすすめのお米を紹介しているので、以下のバナーからチェックしてみてください!
なぜ玄米はダイエットによいと言われるの?
白米に比べてGI値の低い玄米は、ダイエットに効果があると言われています。
しかし、玄米がダイエットにおすすめなのは、GI値が低いだけでなく、他にもさまざまなメリットがあるからです。
この章では、玄米がダイエットにおすすめの理由を紹介します。
1. ビタミン・ミネラルが豊富
白米と比べて玄米がダイエットに向いていると言われるのは、ビタミンやミネラルが豊富に含まれているからです。
玄米には、白米の約4倍のビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は、糖質が燃焼してエネルギーに変換される過程に欠かせない栄養素です。
ビタミンB6は、たんぱく質や脂肪の代謝に必要な栄養素ですが、玄米にはなんと白米の約10倍も含まれています。
ビタミンEは、アンチエイジング効果があると言われ、美容に欠かせない栄養素です。玄米には白米の約12倍ものビタミンEが含まれています。
カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラル類も豊富に含まれていて、ダイエットで不足しがちな栄養素を効果的に補えるのがメリットです。
玄米の栄養成分については、関連記事の「玄米の栄養成分とは?美容や健康に効果的って本当なの?」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
2. 便通がよくなり老廃物を排出
玄米には食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維は、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維の2種類に分けられますが、玄米の食物繊維(セルロース)は不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、保水性が高く、胃や腸の中で水分を吸収して大きく膨らんで、腸を刺激し蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、便通を促進し便秘の解消に役立ちます。
3. 満腹感を感じやすい
不溶性食物繊維のセルロースは、水分を吸収して胃や腸の中に長く留まり、ゆっくり穏やかに消化されるため、玄米は腹もちがよく満腹感を感じやすい食品です。
また、不溶性食物繊維を多く含む玄米は、よく嚙んで食べなければならないため、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。
玄米の糖質はダイエットに関係がある?
白米と玄米のエネルギー(カロリー)と糖質を、100g当たり(ごはん茶碗に軽く1杯)で比較すると次のようになっています。
エネルギー(カロリー) | 糖質 | |
---|---|---|
白米 | 156 | 37.1 |
玄米 | 152 | 35.6 |
このように白米と玄米を比較するとエネルギー(カロリー)や糖質では大きな違いはありません。
しかし、食後の血糖値の上昇を示すGI値を比較すると、白米がGI値88と高GI食品であるのに対して、玄米のGI値は55で低GI食品に分類されます。
先ほども書きましたが、低GI食品は、血糖値の上昇が緩やかなため、脂肪の分解を抑えるインスリンが分泌され過ぎることがありません。
そのため、GI値の低い玄米を食べることで、太りにくい体質になりダイエットの効果が期待できると言われています。
白米のカロリーについては、関連記事の「白米は栄養豊富なの?カロリーは?知っておきたいご飯の基礎知識」で詳しく解説します。ぜひチェックしてみてください。
玄米の注意点は?
GI値が低く、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれていることから、糖尿病の予防効果やダイエット効果が期待できる玄米ですが、調理する際や食べる際には注意した方がよい点がいくつかあります。
注意ポイントは以下の通りです。
1. 炊きあがりに時間が掛かる
玄米は粒の表面に糠(ぬか)が残っているため硬くて、白米に比べて浸水しにくい特徴があります。
そのため、浸漬(しんせき)と呼ばれるお米を浸水させる過程は、白米では基本的に30分〜1時間程度ですが、玄米では5〜6時間が必要です。
この浸水時間が短いと、炊きあがりが硬くなります。玄米がおいしくない、苦手という人の多くは、硬い玄米ごはんを食べたことが原因です。
玄米を炊く前には、しっかりと浸水させましょう。また、炊く時の水の量も白米より多めにすることが大切です。
最近の炊飯器には、玄米モードがついています。メーカーや製品によって異なりますが、玄米モードでは浸水時間も含んで2時間ほどで炊くことが可能です。
玄米の浸水時間については、関連記事の「玄米の浸水時間はどのくらい?時短で炊く方法も紹介」で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
2. 白米と比べると消化がよくない
玄米は食物繊維が豊富なことがメリットです。しかし、やわらかく炊けていなかったり、よく嚙まないで食べたりすると消化不良を起こすことがあります。
食物繊維には、便秘の予防など整腸効果がありますが、一方で消化吸収されずに大腸まで達することから食べ過ぎると、お腹がゆるくなる点には要注意です。
白米と比べると消化がよくないため、玄米を食べる際にはいつも以上によく嚙むことを意識しましょう。
唾液に含まれている消化酵素が、消化、吸収、分解を助けてくれるため胃や腸への負担を軽減してくれます。
3. 農薬が残っている可能性も
玄米は、もみ殻を取り除いただけで精米していないため、農薬が付着していてカラダに悪いのではと言われることがあります。
農薬は一般的に脂に溶けやすい性質をもっているため、脂分が多いヌカや胚芽に多く溜まる傾向が顕著です。
そのため、米ヌカが着いた状態の玄米は、白米と比べると農薬が残っている可能性があります。
玄米を購入する際には、原則農薬を使っていない有機栽培や、慣行栽培より農薬の使用を減らした特別栽培と表示されたお米を選ぶと安心です。
玄米の残留農薬については、関連記事の「玄米の残留農薬の洗い方|おうちで美味しく安全に食べよう!」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
低GI食品で他におすすめは?
低GI食品には玄米の他に、肉や魚などのたんぱく質、乳製品、葉物などでんぷん質の少ない野菜などがあげられます。
一方で、高GI食品はごはんやパンなどの主食。そこでダイエットするには、ごはんやパンなど炭水化物を抜けばいいのではと思われる方もいるかもしれませんが、炭水化物はエネルギー源として必要な栄養素です。
最近の研究では、同じ炭水化物でもGI値の高いものとGI値の低いものがあることがわかってきました。
同じパン類でも、食パンやフランスパンは高GI値ですが、全粒のライ麦パンは低GI値です。炭水化物を抜くのではなく、賢く選ぶようにしましょう。
ダイエット効果のある炭水化物については、関連記事の「太りにくい炭水化物ってある?種類や摂り方を詳しく解説します」でも紹介しています。
毎日の食事に玄米を取り入れよう
玄米はGI値が低く、食後の血糖値の上昇が緩やかでダイエットに効果的な食品です。
また、ビタミンやミネラル、食物繊維などの美容に必要な栄養素も豊富に含まれています。
玄米は硬いから苦手という方もいますが、浸水時間や水の量などに気を付ければおいしく炊くことが可能です。
ぜひ毎日の食事に玄米を取り入れましょう。