玄米

美容や健康のブームにのって「白米より玄米の方がよい」と耳にすることも増えてきました。

しかし、どんな栄養素が玄米に含まれているのか知らない人も多いでしょう。また、白米や玄米を太る原因である炭水化物だからと敬遠する人も少なくありません。

今回は、玄米の栄養や効果について紹介しながら、玄米の魅力をお伝えします。

玄米の豊富な栄養成分とは

 

玄米は栄養素を多く含む、糠層や胚芽を残したお米です。ミネラルやビタミン、食物繊維、ナイアシン、フィチン酸、葉酸などが含まれています。

ここでは、玄米の豊富な栄養成分について見ていきましょう。

玄米の栄養成分

ビタミンB群

玄米には、ビタミンB群であるビタミンB1・B2・B6が多く含まれています。

文部科学省の日本食品標準成分表2020年版によると、玄米の方が圧倒的にビタミンB群が多いことがわかります。

玄米 白米
ビタミンB1 0.41mg 0.02mg
ビタミンB2 0.04mg 0.01mg
ビタミンB6 0.45mg 0.02mg

参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂):文部科学省

ビタミンB群は、身体の中の代謝に必要な補酵素となります。ビタミンB群を摂取しないとエネルギー生成がスムーズに行われず、疲れやすくなってしまうことも。

ビタミンB群

ビタミンは体内で生成できない栄養素で、毎日摂取する必要があるとされています。

ミネラル

玄米に含まれるミネラルは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・モリブデンです。

ミネラルは、身体の生成や維持を助ける重要な成分。血液をきれいにし、健康を保つためには必要不可欠です。不足しがちなマグネシウムなども豊富に含まれています。

ミネラルが豊富

ミネラルが不足すると体調不良を引き起こす原因ともなりかねません。ただし、サプリメントなどで補っている場合は摂りすぎにも注意しましょう。

タンパク質

玄米は、100gあたり2.8gのタンパク質を含んでいます。白米は2.5gあるので、さほど大きな差はありませんが、植物性タンパク質が取れるのは豆類や穀物からのみです。

1日の摂取量を考えれば多い方がよいと言えるでしょう。

タンパク質は、身体を作る要素としてとても大切な栄養分です。また、神経伝達や身体を調整するホルモンなどにも必要となります。

タンパク質が不足すると、筋力の衰えや体調不良の原因ともなりかねません

タンパク質が豊富

動物性タンパク質と合わせて、バランスよく摂取することがよいとされています。

食物繊維

食物繊維は、大腸まで届き、おなかの調子を整えるのに必要な栄養素です。便秘解消にもよい栄養素です。

食物繊維が豊富

玄米は特に不溶性の食物繊維が多く、水分を吸収することで便が増え、排便がスムーズになります。

日本人の多くは食物繊維が不足しがち。厚生労働省が発表した2020年の食事摂取基準では、女性が18g・男性21g以上とされています。

食物繊維が不足すると、腸内環境が悪くなるだけでなく、大腸癌などのリスクも上がる可能性も。玄米などの穀物類を積極的に摂取することが大切です。

参考:厚生労働省 eヘルスネット

玄米の栄養にはどんな効果がある?

玄米ごはん

次に、玄米の栄養が身体にどんな効果をもたらすのかを確認しましょう。

玄米を食べることで、体調を保つ様々な効果が期待できます。

抗酸化効果

ビタミン類やポリフェノールを持つ玄米は、抗酸化作用があるとされています。

  • 動脈硬化や生活習慣病の抑制に効果的なビタミンE
  • 老化を遅らせるのに効果的なフィチン酸
  • 認知症予防効果が期待できるフェルラ酸
  • シミ・シワの予防効果があるとされるγ-オリザノール

このように、玄米には抗酸化効果の期待できる栄養素が豊富です。

抗酸化効果がある

ダイエット効果

150g摂取したときのカロリーは、玄米が228kcal、白米が234kcalと大きな差はありません。

糖質=炭水化物と考えられることが多いですが、実は炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。玄米は、食物繊維が多いだけでなく、不足しがちなミネラルやビタミン類も含む食材です。

よりバランスの良い食材の方が、代謝などを促してくれるので、ダイエットにも効果的と言えるでしょう。

ダイエット効果がある

また、玄米はよく嚙んで食べることができるので、食べ過ぎも抑えることができますよ。

腸内環境の改善効果

腸内環境の改善には、善玉菌を増やすことが効果的です。大腸まで消化されないオリゴ糖や食物繊維は、善玉菌のエサとなります。

食物繊維には不溶性と水溶性があり、特に玄米は不溶性の食物繊維が豊富です。一方、精製された穀物類には食物繊維が少ないと考えられるでしょう。

不溶性の食物繊維は腸内の有害物質を吸着し体外に排出してくれる働きもあります

腸内環境の改善効果

血糖コントロール効果

玄米は、食べた後に血糖値が急激に上がりにくい、GI値の低い食材です。GI値とは、食後の血糖値上昇スピードを表す際に用いられます。

血糖値は食べる食材によって、上がり方に違いがあるのが特徴です。

高GI値の食材を摂取するとインスリンというホルモンが大量に分泌され、余ったエネルギーを脂質として蓄えます。放っておけば、内臓脂肪の増加や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を引き起こす可能性も。

GI値の低い食材は、時間をかけて糖の吸収が行われるため、太りにくい身体となると言われています。

血糖値のコントロール効果

心疾患リスクを下げる効果

玄米など精製されていない全粒穀物類は、心疾患などのリスクを下げる効果があると2016年に研究結果が発表されています。

心疾患のリスクを下げる効果

食事に関してはいろいろな情報が飛び交うので、何を食べればよいのかわからなくなることもあるでしょう。

玄米などの全粒穀物類の食事を続けることは、健康維持に役立ちます。

年齢と共に上がる心疾患や糖尿病、がんなどのリスクを減らすために、玄米を食事に取り入れてみませんか?

参考:メディカルオンライン

玄米に不足する栄養素とは?

豊富な栄養素が含まれている玄米ですが、もちろん全ての栄養素を含んでいる訳ではありません。健康のためにはいろいろな栄養素を食べるのがおすすめです。

玄米に不足している栄養素を確認して、それを補う食事を考えてみましょう。

不足する栄養素にどんな働きがある?

ビタミンAを含む食材

玄米に含まれていない栄養素は、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンB12、ビタミンCです。

例えばビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ上で欠かせない栄養素。不足すると粘膜が弱り風邪などの感染症にかかりやすくなる可能性もあるでしょう。

カルシウムの吸収などを促進するビタミンDには、免疫機能を向上させる効果が期待できます。

また、体内機能を維持する代謝や赤血球の生産などに関わるビタミンB12や、身体の細胞と細胞をつなげる役割を持つビタミンCなども、健康を保つ上では欠かせません。

玄米に含まれていない栄養素にも大切な役割がたくさんあります。不足しがちな栄養素をしっかりと補いましょう。

足りない栄養素を補えるレシピ

発酵食品

玄米と一緒に食べたい食材を使ったレシピも考えてみましょう。

腸内環境をさらによいものにするために、味噌などの発酵食品を食べることをおすすめします。

玄米には、緑黄色野菜・芋類・きのこ類・貝類・海藻などを使った具沢山の味噌汁を合わせてみましょう。

メインのおかずには魚やレバーを使ったメニューもおすすめです。

レバニラ炒めなども作ってみましょう。鳥レバーをもやしやニラ、ニンニク生姜と一緒に炒めて、オイスターソース・醤油・砂糖などで味付け。ごま油で仕上げれば完成です。

玄米で栄養失調になるって本当?

玄米はいろいろな栄養素を含む食材ですが、それだけを食べておけばよいという訳ではありません。玄米にはない栄養素を補える食材を摂る必要があるということです。

特定の食材のみを食べ続けることは、他の栄養素を摂る機会をなくしてしまいます。

例えば、ビタミンCを豊富に含む緑黄色野菜や芋類、フルーツ類、カルシウムを含む乳製品など、玄米に不足している栄養素を食べることが大切です。

玄米で栄養失調になるとは考えにくいですが、偏った食事は健康によくないということを忘れないでおきましょう。

玄米のデメリットってないの?

健康によいとされる玄米ですが、デメリットはあるのでしょうか。

主に2つの点でよくないとされています。玄米のデメリットを把握し、よりよい玄米の食べ方や選び方を考えましょう。

玄米のデメリット

消化が悪い

玄米は白米に比べると消化はよくありません。特にごはんをあまり嚙まないで飲み込んでしまうと、お腹を壊すことにもつながります。胃腸の機能が弱っているときなどにも注意が必要です。

消化が悪い

玄米を柔らかく炊くこと、よく嚙むことで消化不良を改善できます。

残留農薬の可能性

玄米は籾殻をとっただけのお米です。精米せずに食べているので、残留農薬の可能性が考えられます。

ほとんどが食品衛生法の基準値以下ではあるとしても、農薬が検出されることがあるのも事実です。農林水産省では、農薬の使用状況や残留結果についても調べているので、参考にしてください。

残留農薬の可能性

残留農薬の可能性を心配する方は、減農薬や有機農法で作っているお米の玄米を選ぶことをおすすめします。

参考:国内産農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査の結果の概要

玄米と白米ならどっちが良い?

玄米と白米

玄米は、ボソボソとして食感が美味しくないというイメージが強いですが、酵素玄米や寝かせ玄米のように柔らかくする方法もあります。

紹介したビタミンやミネラルだけでなく、神経系や内分泌、機能、代謝などに関与するパントテン酸など、白米にはほとんど含まれていない栄養素があるのが玄米です。

健康のためなら玄米の方が良いかもしれませんが、食べやすさから白米を選ぶ人もいます。

栄養面を考えながらも白米の食べやすさも欲しいという方は、3分精米・5分精米・7分精米などの玄米もあるので、試してみるとよいでしょう。

栄養価や食べやすさで自分にあったお米を選ぼう

体調は毎日同じではありません。栄養価や食べやすさなど、そのときの体調にあった食事を選ぶことをおすすめします。

我慢して手間のかかる調理を毎日していても楽しくはないはずです。時には簡単、手軽に食べられる白米を選んでもよいでしょう。

ただし、健康を考えるなら主食に玄米を取り入れるのも一つの方法です。