特A米とは、「米の食味ランキング」で味や香りが優秀だと評価されたお米を指します。
しかし、「どんなお米が特A米に選ばれているの?」「特A米っておいしい?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、令和5年の特A米や、代表的な特A米における味の傾向を紹介します。
おいしいお米の選び方もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
特A米の銘柄はどれ?令和5年の食味ランキング
食味ランキングでは基準米(コシヒカリ)とくらべて、味や香りといった「食味」がどれくらい良いかを評価します。
その中でも、特A米は特に優秀であるとされた銘柄です。
令和5年の食味ランキングでは、144点中43産地品種が特A米として選出されました。それぞれの品種と産地は、次のとおりです。赤字は、令和4年度には特A評価を受けていなかった銘柄です。
品種 | 産地 |
---|---|
ななつぼし | 北海道 |
ゆめぴりか | 北海道 |
はれわたり | 青森 |
銀河のしずく | 岩手(中) |
あきたこまち | 秋田(県南) |
サキホコレ | 秋田 |
つや姫 | 山形(村山・置賜)、島根 |
雪若丸 | 山形(置賜) |
コシヒカリ | 茨城(県北)、新潟(魚沼)、長野(北信・東信)、岐阜(美濃)、三重(伊賀)、兵庫(県北) |
彩のきずな | 埼玉(県西) |
いちほまれ | 福井 |
きぬむすめ | 静岡(東部・西部)、兵庫(県南)、鳥取、島根、岡山 |
にこまる | 静岡(西部)、岡山(県南)、愛媛、高知(県北・県西)、長崎 |
ミネアサヒ | 愛知(三河中山間) |
みずかがみ | 滋賀 |
ヒノヒカリ | 愛媛、大分(豊肥) |
恋の予感 | 広島(南部) |
元気つくし | 福岡 |
さがびより | 佐賀 |
夢しずく | 佐賀 |
森のくまさん | 熊本(県北) |
ひとめぼれ | 大分(西部) |
あきほなみ | 鹿児島(県北) |
特Aに初選出された産地銘柄(3産地銘柄)
このうち、特A米に初選出された銘柄は、次の3産地品種です。
- はれわたり(青森)
- サキホコレ(秋田)
- きぬむすめ(静岡(東部・西部))
「はれわたり」「サキホコレ」は令和4年度に全国デビューした新しい銘柄です。
「はれわたり」は、青森の品種「晴天の霹靂」や「つがるロマン」に比べて、もちもち食感で甘いことが特徴です。寒さやいもち病に強いなど青森で広く栽培しやすい品種として開発されました。
「サキホコレ」はもっちり、ふっくらとした食感が特徴のお米です。コシヒカリを超える良食味米とした秋田県が満を持してデビューさせました。
特Aに復帰した産地銘柄(12産地銘柄)
令和5年度米は、12もの産地銘柄が特Aに復帰しています。
- あきたこまち(秋田・県南)4年ぶり
- コシヒカリ(栃木・県北)2年ぶり
- コシヒカリ(長野・東信)3年ぶり
- コシヒカリ(長野・北信)4年ぶり
- みずかがみ(滋賀)4年ぶり
- コシヒカリ(兵庫・県北)2年ぶり
- きぬむすめ(兵庫・県南)8年ぶり
- つや姫(島根)3年ぶり
- 夢しずく(佐賀)3年ぶり
- 森のくまさん(熊本・県北)4年ぶり
- ヒノヒカリ(大分・豊肥)5年ぶり
- あきほなみ(鹿児島・県北)3年ぶり
特Aからランクダウンした産地銘柄(16産地銘柄)
一方で、令和4年度特A評価であった16産地銘柄がランクダウンしています。
- ふっくりんこ(北海道)
- 晴天の霹靂(青森・津軽)
- ひとめぼれ(秋田・中央)
- ひとめぼれ(福島・中通)
- ひとめぼれ(大分・西部)
- 雪若丸(庄内)
- コシヒカリ(茨城・県央/県南)
- コシヒカリ(新潟・上越)
- コシヒカリ(福島・会津)
- コシヒカリ(岐阜・飛騨)
- 星空舞(鳥取)
- ヒノヒカリ(京都・山城)
- おいでまい(香川)
- つや姫(宮城)
- つや姫(大分・北部)
こめむすひでは、全国にある約900もの銘柄品種を少しずつではありますが、、実食レポート付きで紹介しています。全国の色んな品種のお米を食べてみたいという方は、ぜひご覧ください!
特A米の銘柄を決める食味とは
特A米は、全国各地のさまざまな銘柄が選ばれていることがわかりました。
しかし、「そもそも、食味って何?」と疑問に思う方も多いでしょう。
ここでは「食味ランキング」はもちろん、似たような指標である「食味値」についても紹介します。
1. 食味ランキングは試験米の評価
食味ランキングの評価項目は、次の6つです。
以上の評価点が基準米を上回れば、特A米やAに選出されるのです。ただし、実はランキングの評価では、試験用のお米を使用します。
つまり、特A米だからといって、必ずしも「とびきりおいしい」というわけではありません。
逆に、Bランク以下であっても、おいしく食べられるお米が多いでしょう。
ランキングは、参考にする程度にとどめておくことをおすすめします。
2. 食味値は販売米の評価
食味値とは販売用のお米について、そのおいしさを個別に評価する数値です。
お米のおいしさは同じ銘柄であっても、収穫年や農家によって異なってきます。田んぼや植え付ける位置によっても、味が違ってくることも珍しくありません。
その違いを明らかにするのが、食味計という機器を使って計測する食味値です。
食味値は、次の4つから算出されます。
それぞれの項目の内容や基準値は、以下の表を参照してください。
項目 | 内容 | 基準値 |
---|---|---|
水分 | みずみずしさ | 14.5~15.0%程度 |
タンパク | 含有率が低いほど柔らかく、粘りがあり、食味が上がる | 5~8%程度 |
アミロース | 含有率が低いほど柔らかく、粘りがあり、食味が上がる | 20%前後 |
脂肪酸 | 米が古くなると脂肪酸が高くなり食味が下がる | 20%以下 |
そして、食味値が70点以上(100点満点中)であれば、70%以上の人がおいしいと感じるといわれています。ちなみに、日本米の食味値は65~75点が標準です。
食味値は客観的な指標となるため、インターネット販売も行っている農家では、食味値を公表して販促するケースが増えてきています。
特A米の銘柄別味の傾向
特A米の評価対象は試験米のため、そのおいしさはあくまでも参考に過ぎません。
しかし、「特A米への選出回数が多いお米は、味もよいのでは?」と気になる方も多いでしょう。
ここでは特A米の選出回数が多い銘柄をピックアップし、それぞれの味の傾向を紹介します。
1. コシヒカリ
「コシヒカリ」は特に魚沼産の選出回数が多く、特A米に選ばれるのは4年連続、合計31回にもおよびます。
その味の傾向はもっちりとして、粘り気が強いのが特徴的です。
甘味も強く、おかずなどがなくてもお米単体で十分味を楽しむことができます。
おすすめのコシヒカリについては、関連記事の「極上の新潟県産コシヒカリ25選!ネットやふるさと納税で手に入れる方法を解説」で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください!
2. ゆめぴりか
北海道産の「ゆめぴりか」は、同じく北海道産の「きらら397」に「コシヒカリ」などを掛け合わせて生まれた銘柄です。
コシヒカリよりも、もっちり感や粘り気が強い傾向にあります。
また、コシヒカリを掛け合わせていることで、甘味が非常に強くなっています。
3. ひとめぼれ
岩手や福島などで作られている「ひとめぼれ」は、甘味は感じられるものの、それほどしつこくありません。
粘り気は少なめなため、しっかりとした噛み心地のお米が好きな方にぴったりでしょう。
また、吸水性がよく、好みに合わせた炊き分けがしやすい傾向にあります。
もっちりさせたい場合は水多め、硬めがいい場合は水を少なめにするなど、さまざまな味わい方ができる銘柄です。
おいしいお米の選び方
特A米に限らず自分好みのおいしいお米を選びたい方は、次の3つをチェックしましょう。
- 精米日
- 粒の状態
- 袋の状態
精米したお米は劣化が早くなるため、できるだけ早めに食べきることをおすすめします。
粒の大きさがそろっている、ひび割れや欠けがないのもおいしいお米です。袋の破損状態とあわせて、ぜひチェックしてみてください。
また、おいしさの感じ方は人によって異なります。そのため、味や食感の好みに合わせて選ぶのもひとつの方法です。
たとえば、これまで特A米に選ばれた銘柄の味や食感は、次のようになっています。
- 甘い×もちもち(ゆめぴりか、にこまるなど)
- 甘い×しっかり(ひとめぼれ、つや姫など)
- あっさり×しっかり(はえぬき、銀河のしずくなど)
- あっさり×もちもち(みずかがみ、彩のきずななど)
自分好みの銘柄がよくわからないという方は、1つずつお試しで取り寄せてみるのもよいでしょう。
お米の銘柄については、関連記事の「お米の種類は何種類ある?自分にピッタリの銘柄米の見つけ方」で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてみてください!
特A米にはおいしい銘柄がいっぱい!
特A米は香りや味などの食味が優秀ですが、銘柄によってその特徴は大きく異なります。
今回紹介した内容を参考に自分好みの銘柄を見つけて、おいしくいただいていきましょう。