豊富な栄養が含まれていることから、健康を意識する人に人気の玄米ごはん。
しかし、白米と比べると食感が硬いことから、食べにくいと感じる人も少なくありません。そのような方におすすめなのが「分づき米」です。
「分づき米」は、簡単に言うと玄米と白米の中間のお米で、食べやすく栄養が豊富。今回は、分づき米に含まれている栄養素の特徴や分づき米を美味しく炊くポイントなどを詳しく解説します。
分づき米ってなに?
田んぼで栽培されたお米は、収穫後に乾燥させてからもみ殻を取りのぞく「もみすり」という工程を行って玄米にします。玄米から米ぬかの層や胚芽の部分を取りのぞく「精米」をしたものが「白米」です。
白米は、米ぬかや胚芽が完全に取りのぞかれた状態を指します。しかし、米ぬかや胚芽には栄養が豊富に含まれているため、米ぬかや胚芽を全て取りのぞかずに、あえて残す精米方法もあります。
米ぬかや胚芽を残したお米が「分づき米」です。
白米を100%(十分)として、取りのぞいた米ぬかや胚芽の割合によって、「一分づき」「三分づき」「五分づき」「七分づき」と呼ばれます。
- 三分づき米:米ぬかや胚芽が三割取り除かれて七割残っているお米
- 五分づき米:米ぬかや胚芽が五割取り除かれて五割残っているお米
- 七分づき米:米ぬかや胚芽が七割取り除かれて三割残っているお米
下の写真は、上が「玄米」、右下が「三分づき米」、左下が「五分づき米」です。色が明らかに違うことがわかりますね。
分づき米の栄養素
玄米は、白米と比較するとビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいます。
特に多いのはビタミンB群(B1、B2、パントテン酸、葉酸など)。ビタミンB群は、体の中でエネルギーを作り出す代謝を助ける働きがあるため不可欠な栄養素です。
また食物繊維は、腸内環境を整えて、整腸作用や血糖値を抑える作用、血中コレステロールの濃度を低下させる作用などがあると言われています。
このように玄米には、栄養価が豊富で、健康や美容、ダイエットの効果が期待できるというメリットがありますが、玄米の硬い食感が苦手で食べにくいという方も少なくありません。
そこで、おすすめなのが「分づき米」です。最初は、食べやすい「七分づき米」などから始めると、苦手意識を持たず食べられるでしょう。
玄米の栄養成分については、関連記事の「玄米の栄養成分とは?美容や健康に効果的って本当なの?」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
分づき米を美味しく炊くポイント
分づき米は、米ぬかの胚芽の硬い層を残して精米しているため、白米と同じように炊飯すると炊き上がりが硬くなるのが難点です。
この章では、分づき米を美味しく炊くポイントをご紹介します。
1. やさしく研ぐ
分づき米は、あえて栄養が豊富に含まれている米ぬかや胚芽の層を残して精米したお米です。
力を入れて研ぎすぎると、せっかく残した米ぬかや胚芽が取れてしまい、栄養が失われます。洗米の回数は、3〜5回でやさしく研ぎましょう。
購入してから時間が経った分づき米は、米ぬかが酸化している可能性があります。やさしく回数を多くして研ぐことで、ぬか臭さが気にならなくなるでしょう。
2. 少し多めの水で炊く
水加減は、普通の白米と同じで大丈夫です。もし、米ぬかや胚芽の部分が硬く食べにくいと感じたら、少し水を多めにして炊きましょう。
ただし、お米の品種やその時のお米の乾燥具合、食べる方の好みにもよるので、調整してください。
水加減については。関連記事の「玄米を炊く際の水加減は1.77倍・白米は1.42倍!混ぜて炊くときの目安も紹介!」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
3. 長めに浸水する
分づき米には胚芽がついています。胚芽は水に浸けておくことで、やわらかくなり食べやすくなるでしょう。
七分づき米で浸水時間は2時間以上、五分づき米で3時間以上、三分づき米で5時間以上がおすすめです。
なお、雑菌の繁殖を抑えるため、浸水中は冷蔵庫で保存しましょう。
鍋や炊飯器で炊き方は変わる?
ほとんどの家庭では、電気炊飯器やガス炊飯器を使ってごはんを炊いているでしょう。
ところで、分づき米は普通の鍋や圧力鍋、炊飯器で炊き方は変わるのでしょうか。
1. 普通の鍋
最近では、炊飯器でごはんを炊く家庭が多く、普通の鍋で炊いたことが無いという方が多いのではないでしょうか。
しかし、蓋がある鍋ならどんな鍋でもごはんは炊けます。もちろん白米だけでなく分づき米も同じです。
羽釜や土鍋など厚さのある鍋ではなく、薄い鍋でも炊くことができます。
炊き上がってから、バスタオルなどで鍋を包んで保温しながら蒸らすと、お米の芯までふっくらと仕上げることが可能です。
2. 圧力鍋
圧力鍋を使って炊飯すると、他の鍋を使う場合と比べると、玄米や分づき米もふっくらもっちりとした食感に炊き上がります。
これは圧力鍋の特徴である高温調理によって、お米のでんぷん質がアルファー化(のり化)するためです。アルファー化すると、消化や吸収がよくなるので、胃や腸への負担が軽くなるでしょう。
また、普通の鍋を使って炊飯するより早く炊き上がり、時間の節約もできます。
3. 炊飯器
分づき米は、もちろん炊飯器でも炊くことが可能です。炊飯器によっては、分づき米炊飯のメニューがあって、うち釜に水位の目盛りがついている製品もあります。
炊飯する時は「白米」の炊飯メニューで炊きます。三分づき米などを、やわらかく炊きたい時には「玄米」の炊飯メニューで炊きましょう。
普通の鍋、圧力鍋、炊飯器とも、好みに合わせて水の量や炊飯の時間など、何度か炊いて調整してみてください。
分づき米のデメリットってある?
白米と比べるとビタミンB群やミネラル、食物繊維などが豊富で、健康や美容、ダイエットなどさまざまなメリット効果があると言われる分づき米ですが、デメリットはあるのでしょか。
一般的に分づき米のデメリットと言われていることには、次のようなものがあります。
1. 消化・吸収しにくい
分づき米のごはんを食べると、お腹の調子が悪くなって下痢や便秘になるという方がいます。この原因のひとつが、やわらかく炊けていないことです。
分づき米は、米ぬかや胚芽を残して精米しているため、炊き上がりが硬めになります。
しっかり炊けていない硬いごはんは消化吸収しにくいため、食べると胃腸に負担がかかってしまうでしょう。そのため、下痢や便秘が引き起こされます。
消化吸収をよくするためには、しっかりと浸水時間を取ることと、適切な水の量で炊くことが大切です。
また、よく嚙んで食べるようにしましょう。
2. 酸化しやすく保存に向かない
分づき米は、米ぬかや胚芽が残っているため白米と比べて酸化しやすく、保存期間が短くなります。できるだけ早く食べましょう。
保存する際には、温度や湿度が低く、直射日光の当たらない場所に置いてください。夏場は冷蔵庫の野菜室がおすすめです。
分づき米をお米屋さんで購入する際には、一度にたくさん買うのではなく、できるだけ早く食べきれるように少しずつ買いましょう。
また、最近では、家庭用の精米機が販売されています。家庭用精米機を利用すれば、新米や銘柄米、無農薬や無化学肥料で育てた特別栽培米も希望の分づきで精米可能です。
分づき米でも発芽するの?栄養価は?
「発芽玄米」は、玄米を少しだけ発芽させたものです。玄米は白米に比べて、ビタミンB群やミネラル、食物繊維などが豊富ですが、発芽することで「GABA(γ-アミノ酸)」という成分が、白米の約3.5倍に増加します。
「GABA」には、ストレスを軽減する効果やリラックス効果、脳の働きを活性化させる効果、血圧を下げる効果などが期待されるでしょう。
分づき米でも、胚芽部分が残っていれば発芽は可能です。精米機の種類にもよりますが、胚芽を残して玄米の硬い表面だけを削る特殊な精米機もあります。
玄米では発芽するまで約20時間ほど必要ですが、そのような精米機を使用した分づき米は、硬い表面がないため、短い時間で発芽して、簡単に発芽玄米を作ることが可能です。
分づき米を浸水なしで炊くとどうなる?
前述の通り、分づき米を美味しく炊くには、しっかりと浸水させることが大切です。
浸水時間が不十分だったり、水の量が少なかったりした場合には、硬い炊き上がりになり、美味しくないばかりか、消化吸収が悪く胃腸に負担をかけることになります。
分づき米を健康的に美味しく食べるためにも、七分づき米で2時間以上、五分づき米で3時間以上、三分づき米で5時間以上浸水しましょう。
もし浸水時間が十分に取れない場合には、圧力鍋を使って炊飯すると、高温で炊飯されるため、短い時間でお米の芯の部分まで、やわらかくふっくらと炊くことができます。
食事に玄米や分づき米を取り入れてみよう
普段、私たちが食べているお米には、今回ご紹介した「分づき米」の他に、白米や玄米、無洗米などがあり、種類が豊富です。
玄米や分づき米には、白米と比べて豊富な栄養成分が含まれていて、健康や美容によいと言われています。
料理に合わせて毎日の食事に玄米や分づき米を取り入れてみてはいかがでしょうか。