うるち米という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、どんなお米なのか説明するとなると、意外と難しいのではないでしょうか。
お米には、うるち米の他にももち米や白米、玄米などいろいろな種類があるのが特徴です。
今回は、うるち米や白米、もち米の違い、それぞれの特徴、効果的な食べ方などについて詳しく解説します。
うるち米と白米の違い
私たちがご飯として食べているお米は、一般的にはうるち米や白米と呼ばれています。では、うるち米と白米の違いは何なのでしょうか。
うるち米と白米の特徴や違い、成分、精米歩合について紹介します。
1. うるち米とは
「うるち米」とは、私たちが普段の食事で、ご飯として食べているお米のことです。よく耳にする「コシヒカリ」や「ササニシキ」などは、うるち米の品種にあたります。
日本で栽培されているお米は、ごはんで食べる「うるち米」と、お餅やお赤飯、おこわなどに使われる「もち米」の大きく2種類に分けられます。
うるち米を店頭で販売する際には、食品表示法に基づく「食品表示基準」によって、名称欄に「精米」または「うるち精米」と記載しなければなりません。
2. 「白米」の米の精米歩合
「白米」という表現もよく使われます。白米は、お米を精米して胚芽(はいが)や糠(ぬか)を取り除いたものです。
一般的にイネ科植物の種子をお米と呼びますが、収穫後に乾燥させてもみ殻だけを取り除いたものが「玄米」で、玄米を精米したものが白米となります。
玄米は、白米と比べるとビタミンやミネラル、食物繊維などの健康を保つために必要な栄養成分が豊富です。例えばビタミンB1とマグネシウムは約5倍、食物繊維は約6倍も含まれています。
参考:SMART AGRI「「玄米」の栄養成分とは? 美容や健康によい理由を解説」
3. 成分・精米歩合で4種類の米がある
うるち米には、でんぷんの主成分である「アミロース」と「アミロペクチン」が、およそ2:8の割合で構成されています。
一方で、もち米にはアミロペクチンのみで、アミロースは含まれていません。このアミロペクチンがお餅の粘りのもとです。
つまり、お米は含まれているアミロースとアミロペクチンの比率によって、うるち米ともち米には、精米歩合でそれぞれ白米と玄米にと4種類に分類されます。
- うるち米(玄米)
- うるち米(白米)
- もち米(玄米)
- もち米(白米)
うるち米ともち米の違い
前章で、うるち米ともち米では、でんぷんの主成分であるアミロースとアミロペクチンの含まれる量が違うと紹介しました。それ以外の栄養価にも違いはあるのでしょうか。
うるち米ともち米の栄養価の違いを吸水率の違いと併せて解説します。
1. でんぷんの成分
先ほども書いた通り、うるち米ともち米はでんぷんの成分が異なります。もち米は炊くと粘りを出すアミロペクチンがほぼ100%で、強い粘りがあるのはそのためです。
一方うるち米は、アミロペクチンがおよそ8割に対して、2割のアミロースが含まれています。
最近では、うるち米でも品種改良によって、アミロースの量が3~17%と少ない「低アミロース米」が登場して人気です。
低アミロース米は、普通のうるち米より粘りがあり、つやつやした見た目で、やわらかい食感の炊き上がりになります。
参考:おこめやノート「うるち米とはどんなお米?もち米との違いや語源とは」
2. 栄養価
文部科学省の「食品成分データベース」で調べると、うるち米ともち米の栄養成分やカロリー(100g当たり)は次の通りです。
カロリーや栄養成分に大きな違いはありません。
うるち米(精白米) | もち米(精白米) | |
---|---|---|
エネルギー | 342㎉ | 343㎉ |
水分 | 14.9g | 14.9g |
たんぱく質 | 6.1g | 6.4g |
脂質 | 0.9g | 1.2g |
炭水化物 | 77.6g | 77.2g |
灰分 | 0.4g | 0.4g |
3. 吸水率
うるち米ともち米の吸水率の違いは、含まれているアミロペクチンの量によって決まります。
もち米に多く含まれているアミロペクチンは、水分を含んで膨張しやすい性質が特徴です。そのため、うるち米と比較すると、もち米の方が吸水率が高いと言えるでしょう。
もち米は、浸漬(しんし:お米を浸水させること)によって約40%吸水します。もち米は、炊飯による加熱法では粘りが出て焦げやすいため、蒸すのが一般的です。
しかし、浸水の水だけでは固くなるため、1~3回ふり水を行います。
効果的な食べ合わせ
栄養バランスが取れた食事の基本は、主食であるごはんと主菜、副菜を揃えることです。うるち米ともち米のみの食事では、不足する栄養素が少なくありません。
ここでは、うるち米ともち米それぞれの効果的な食べ合わせを紹介します。
1. うるち米と納豆
うるち米のご飯と納豆は栄養的に相性がよく、効果的な食べ合わせです。白米など多くの植物性たんぱく質には「リジン」という必須アミノ酸が少ないのですが、大豆のたんぱく質には豊富にリジンが含まれています。
そのため、うるち米のご飯と納豆を一緒に食べることで、アミノ酸のバランスがよくなり効果的に栄養を摂ることが可能です。
また納豆には、うるち米に少ないビタミンB1やB2、ビタミンK、食物繊維なども含まれています。
2. もち米と小豆
もち米を使って調理するお赤飯やおこわには、小豆が使われることが多くあります。
なぜなら小豆には、食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群、ミネラル、ポリフェノール、サポニンなどさまざまな栄養素が含まれているからです。
小豆に含まれるポリフェノールには、抗酸化作用があり活性酸素を取り除く効果があると言われています。そのため、老化を防ぎ若々しい体を保つ効果が期待できるでしょう。
また、サポニンは、コレステロールや中性脂肪が増えるのを防いで、動脈硬化や心筋梗塞などの予防に役立ちます。
うるち米ともち米のカロリーはどう?
もち米は、うるち米のような普通の米よりも太りやすいイメージがあるかもしれません。
ここでは、実際のカロリーを交えて紹介します。
1. うるち米のカロリー
うるち米(精白米)の100g当たりのエネルギーは342㎉です。また、水稲めし(精白米のごはん)では、100g当たりのエネルギーは156㎉で、ごはん茶碗に軽く1杯(約150g)では、およそ234㎉になります。
また、お粥(水稲全かゆ)にした際には100g当たり65㎉、五分かゆ(水稲五分かゆ)では100g当たり33㎉です。
2. もち米のカロリー
もち米(精白米)の100g当たりのエネルギーは343㎉とうるち米とほとんど変わりません。
しかし、お餅にすると100g当たり約235㎉となります。うるち米のごはん1膳と切り餅約2個分が同じカロリーです。
お餅は、カロリーが高いイメージがありますが、弾力があり歯ごたえもあるため、ご飯より満腹感を得られます。
また粘り成分のアミロペクチンは、ゆっくり消化されるため腹持ちがよく、間食防止の効果が期待できるでしょう。
うるち米は体に悪い?
昔の日本では、庶民のご飯と言えば玄米でした。白米は一部の身分が高い人だけが食べられる特別な食事だったのです。しかし、江戸時代になると庶民の食卓にも白米が登場するようになりました。
そこで流行したのが、当時「江戸患い」と呼ばれた病気の脚気(かっけ)です。糠をきれいに落とした白米を食べることでビタミンB2が不足して脚気になる人が増加しました。
うるち米が体に悪いということではありません。大切なのは白米だけを食べるのではなく、栄養バランスが取れた食事を心がけることです。
お米の特徴を理解して美味しく食べよう
ひと言でお米と言っても、うるち米ともち米、白米と玄米といろいろな種類があります。
お米は、含まれているアミロースとアミロペクチンの量や、精米歩合によって、粘りや食感、味わい、見た目などが異なるのが特徴です。
それぞれのお米の特徴を理解して、さまざまなレシピで美味しく食べましょう。
こめむすひでは、全国にある約900もの銘柄品種を少しずつではありますが、、実食レポート付きで紹介しています。全国の色んな品種のお米を食べてみたいという方は、ぜひご覧ください!