お米は北海道から沖縄県まで、全国の各都道府県で栽培されている数少ない農産物です。日本は南北に長いため、地域によって気候風土が大きく異なります。
お米は、その地域の土や水、気候などに合わせて、収穫量の多いものや、病害虫に強いもの、冷害に強いものなどへ品種改良がなされ、さまざまな品種が開発されてきました。
今回は、お米の銘柄や特徴について紹介します。
お米の種類ってどのくらいある?
日本で栽培されているお米の品種銘柄には、うるち米が921銘柄、もち米が137銘柄、酒米と言われる醸造用のお米が229銘柄あります。
そのなかでも、私たちが主食として食べているうるち米で、多く栽培されてる品種は次の通りです。
順位 | 品種名 | 作付けされている面積の割合(%) | 主な産地 |
---|---|---|---|
1 | コシヒカリ | 33.7 | 新潟県、茨城県、栃木県 |
2 | ひとめぼれ | 9.1 | 宮城県、岩手県、福島県 |
3 | ヒノヒカリ | 8.3 | 熊本県、大分県、鹿児島県 |
4 | あきたこまち | 6.8 | 秋田県、茨城県、岩手県 |
5 | ななつぼし | 3.4 | 北海道 |
6 | はえぬき | 2.8 | 山形県 |
7 | まっしぐら | 2.5 | 青森県 |
8 | キヌヒカリ | 1.9 | 滋賀県、兵庫県、京都府 |
9 | きぬむすめ | 1.6 | 島根県、岡山県、鳥取県 |
10 | ゆめぴりか | 1.6 | 北海道 |
人気のお米の銘柄10選
お米にはたくさんの品種があるので、いったいどれを買ったらよいのか迷うのではないでしょうか。
この章では、特に人気の高い10の銘柄について、名前の由来や粘りや甘みなど食味の特徴などについて紹介します。お米を選ぶ際の参考にしてください。
1. 魚沼産コシヒカリ
「コシヒカリ」は、全国で最も多く作付けされているブランド米です。誕生は古く、昭和31(1956)年に水稲農林100号「コシヒカリ」として品種登録されています。
品種名の「コシヒカリ」は、上越や中越、下越の地域を示す「越の国」に光輝くことを願って名付けられました。
「コシヒカリ」の食味の特徴は、もっちりとしたほどよい粘りと甘さです。
東北から九州まで広い地域で栽培されていますが、その中でも特に食味がよいのが、新潟県魚沼産の「コシヒカリ」と言われています。
2. あきたこまち
「あきたこまち」は、昭和59(1984)年に誕生した品種で、「コシヒカリ」と「奥羽292号」を両親に持ちます。「あきたこまち」も、東北から九州まで日本各地で広く栽培されていている品種です。
「あきたこまち」の名前には、秋田県に生まれた平安時代の歌人小野小町にちなみ、「美味しいお米として長く愛されるように」という願いが込められています。
「あきたこまち」の特徴は、粘りと弾力、炊きあがりの美しい光沢です。
3. ゆめぴりか
「ゆめぴりか」は、北海道で開発された品種です。低アミロースで極良食味であることから、平成20(2008)年に北海道の優良品種に採用されています。
品種名の「ゆめぴりか」は、「夢」とアイヌ語で美しいを意味する「ピリカ」をかけ合わせており、3,422点もの一般公募から選ばれました。
「ゆめぴりか」の特徴は、つややかで美しい炊きあがりと豊かな甘み、強い粘りです。近年、北海道米はおいしいと評価が高くなりつつありますが、その中でも「ゆめぴりか」は一番の人気を博しています。
4. ななつぼし
「ななつぼし」は、平成13(2001)年に北海道の優良品種に採用されました。平成20年に「きらら397」を抜いてトップになってから、現在まで北海道で最も多く作付けされている品種です。「ななつぼし」の名前には、北斗七星のように輝いて欲しいという願いが込められています。
「ななつぼし」は、ほどよい甘みと粘りで、冷めても美味しさが長持ちすることからお弁当やお寿司によく合います。粒が崩れにくいことから、洗米に適しているのも利点です。
5. つや姫
「つや姫」は、10年もの研究開発の末に山形県で誕生した品種で、公募と県民投票で「つや姫」と命名されました。山形県では「つや姫」をブランド米にするため、3カ年戦略を立て展開。ロゴマークやキャッチフレーズ、こめ袋のデザインなどを決定して、全国に向けて売り出しました。
「つや姫」は、その名の通り炊きあがりのつやと白さが特徴です。粒がしっかりしていて、嚙みしめると弾力と粘りがあり、甘みやうまみを感じます。
6. ヒノヒカリ
「ヒノヒカリ」は、九州を中心に、中国地方や四国でも栽培されている品種です。「コシヒカリ」が父親で、コシヒカリと同等の食味を持っています。平成元(1989)年から作付けが始まり、現在は全国の作付けランキング3位の品種です。
「ヒノヒカリ」は漢字で表記すると「日の光(陽光)」となり、育成された宮崎県のイメージにピッタリということで名付けられました。
「ヒノヒカリ」は、粒はそれほど大きくありませんが、厚みと丸みがあり、味、粘り、香りとバランスのよさが特徴です。
7. ミルキークイーン
「ミルキークイーン」は、農林水産省が進めたスーパーライス計画の中で、「コシヒカリ」を突然変異させることによって開発された品種です。低アミロース米を代表する品種で、「コシヒカリ」よりアミロースの含有量が少なく、もっちりとした粘りとやわらかな食感があります。
低アミロース米の特徴で、玄米の表面が乳白色をしていることから「ミルキークイーン」と名付けられました。
冷めても硬くならず美味しさが持続するため、お弁当やおにぎりにおすすめです。
8. ひとめぼれ
「ひとめぼれ」は、平成3(1991)年に宮城県で育成、登録された品種で、「コシヒカリ」と「初星(はつぼし)」を親としています。冷害にとても強く、宮城県、岩手県、福島県など東北地方を中心に作付けされています。
「ひとめぼれ」の名前は、3万8,000件もの応募の中から選ばれました。「出会ったとたん見た目の美しさと美味しさにひとめぼれしてしまう」が名前の由来です。
「ひとめぼれ」は、粘りやつや、甘み、うまみ、香りのバランスが取れたお米で、さまざまな料理によく合います。
9. 新之助
「新之助」は、平成29(2017)年から一般販売が開始された新しいブランド米です。米どころの新潟の誇りをかけて開発したお米で、新潟県の「米研究120周年」を記念した品種でもあります。
「新之助」の名前は、「新しい」と「新潟」の「新」を使い、誠実で芯が強いスタイリッシュな現代的な日本男児をイメージしてつけられました。
「新之助」の特徴は、大粒で美しい輝きとツヤの炊きあがり、豊かでまろやかな甘みとうまみの食味に、しっかりとした粘りと弾力の食感。冷めても硬くなりにくく、電子レンジで温め直しても美味しいお米です。
10. 青天の霹靂
「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」は、青森県の産業技術センターが、誰もが驚くような美味しさのお米を目指し、約10年もの歳月をかけて開発しました。
名前の「青」は青森の「青」。晴れわたった青空に、突然現れる稲妻のように鮮烈な存在になりたいと名付けられました。
「青天の霹靂」は、粒がやや大きく適度な硬さがあり食べごたえがあります。ほどよいツヤと白さ、きれのよい上品な甘みと粘りを持つバランスのよさが特徴です。どんな食材とも相性がよく、料理を選びません。
こめむすひでは、全国にある約900もの銘柄品種を少しずつではありますが、、実食レポート付きで紹介しています。全国の色んな品種のお米を食べてみたいという方は、ぜひご覧ください!
米の食味ランキングってなに?
お米のおいしさを格付けしたもので有名なのが、「食味ランキング」でしょう。お米の食味ランキングは、「一般財団法人日本穀物検定協会」が毎年行っているお米のおいしさの格付けです。
ランキングは、食味評価の専門家20名が実際に炊いたご飯を試食し、基準となるお米と味や香り、粘り、硬さなど6項目を比較して決定します。
基準米より特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、おおむね同等なものを「A’」などと格付けするのが特徴です。
米の食味ランキングについては「特A米の銘柄一覧!味の傾向は?おいしいお米の選び方」で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください!
自分にあった銘柄を見つけよう
かつては美味しいお米と言えば「コシヒカリ」や「ササニシキ」が有名でした。しかし、最近では、青森県の「青天の霹靂」や岩手県の「金色の風」「銀河のしずく」、新潟県の「新之助」など、各地で新しいブランド米が登場しています。
それぞれ粘りや甘み、うまみなど個性が違うので、食べ比べて自分に合った銘柄を見つけましょう。