ご飯の粘り具合は、お米に含まれるでんぷんの種類に左右されます。
アミロースが少ないお米は、粘りと甘味が強くなっていきます。そんなお米の中でも最近人気となっているのが「低アミロース米」と呼ばれるお米です。
本記事では低アミロース米の「人気が高まっている理由」や「おすすめの低アミロース米」について解説します。
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低アミロース米とは
お米のでんぷんであるアミロースの含有量が少ないお米を、低アミロース米と呼びます。
低アミロース米の最大の特徴は、炊いたときに粘りが強くて柔らかく、甘味が強いご飯となることです。また、つやつやとした見た目も魅力の一つです。
低アミロース米は近年全国的に人気が高まっており、新しいブランド米として注目されている品種がたくさん登場しています。
1. うるち米ともち米の中間が低アミロース米
「うるち米(ごはんとして食べるお米)」と「もち米」は、お米のでんぷんである「アミロース」と「アミロペクチン」の割合によって変化します。アミロースはご飯の粘りと深く関わっており、アミロース含有量が少ないほどもちもちとした食感のご飯になるのです。
うるち米の場合、アミロースの含有率が17〜23%とされています。一方、もち米のでんぷんは全て「アミロペクチン」で、アミロースは含まれていません。
低アミロース米のアミロース含量は、うるち米よりも低い3〜15%となっています。つまり、低アミロース米はまさにうるち米ともち米の良い所を両方併せ持った中間のお米と言えるでしょう。
2. 低アミロース米は品種改良によって誕生
低アミロース米は、各都道府県で品種改良が活発に行われていることでも知られています。
特に人気となった低アミロース米は、それらの生産地だけでなく全国各地で流通し、テレビCMで話題となったブランド米も現れています。
低アミロース米が人気な3つの理由
ここからは、低アミロース米がたくさんの人の支持を集める理由を3つ紹介します。
1. 粘りが強い
日本人は粘りと甘味が強いお米を好み、パサパサとしたお米は美味しいと感じない傾向があります。
そのため、「粘りが強くもちもちとした食感」と「甘味」を同時に楽しめる低アミロース米は特に日本人好みのお米と言えるでしょう。
2. 冷めても美味しい
低アミロース米のご飯は、冷めても硬くなりにくいことが特徴です。そのため、調理してから食べるまでに時間が経過しやすいお弁当やおにぎり、レトルトご飯に向いていると言えます。
また、玄米と一緒に炊いて玄米ご飯にもちもち感をプラスする方法も有効です。
3. 玄米と混ぜても美味しい
低アミロース米を、パサつきやすい玄米や古いお米と混ぜて炊くと、ふっくらしてモチモチした食感に仕上がって美味しく食べられます。
ご飯の美味しさをアップさせたいときは、低アミロース米をプラスして炊くのもおすすめです。
低アミロース米の銘柄品種10選
低アミロース米は全国各地で品種改良され、新しいブランド米として人気を獲得しています。
ここからは、低アミロース米の中でも特に人気の銘柄品種を10つ紹介します。
1.ミルキークイーン(全国)
全国で生産されている「元祖・低アミロース米」
「ミルキークイーン」はコシヒカリの突然変異によって生まれた低アミロース米です。そのため、コシヒカリに非常に近い味を持っています。
また、ミルキークイーンは特徴的な粘り強い食感で低アミロース米の知名度を一気に高めたことでも知られています。
おにぎりやお弁当だけでなく、普段のごはんの食感を少し変えたいという時に、ミルキークイーンを少し混ぜてみることもおすすめです。
ミルキークイーンは、茨城県を中心に日本全国で栽培されています
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 9~12% | ||
名前の由来 | るち米よりも色が白いことから名付けられた | ||
主な産地 | 茨城県をはじめ全国35府県 | ||
品種登録 | 1995年(平成7年)、茨城県で認定品種採用2000年 |
2.ゆめぴりか(北海道)
11年連続「特A」評価の北海道を代表する低アミロース米
北海道で生まれた「ゆめぴりか」は、低アミロース米の中でも特に有名な品種です。
ゆめぴりかは、北海道米の中でも特に粘りが強く、しっかりとした甘味が大きな魅力です。日本穀物検定協会の食味ランキングで、11年連続「特A」を取るなど、食味が良いことで知られています。
また、ゆめぴりかは一般家庭向けに販売されているだけでなく、高級料亭や飛行機の機内食にも採用されています。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 19%以下 | ||
名前の由来 | 「夢」とアイヌ語で美しいを意味する「ピリカ」を合わせた | ||
主な産地 | 北海道 | ||
品種登録 | 2011年(平成23年) |
3.おぼろづき(北海道)
北海道米No.1の粘りを持った低アミロース米
おぼろづきは、アミロースが14~18%程度と「ゆめぴりか」よりも低く強い粘りが特徴のお米です。粘りは、北海道のお米の中でナンバーワンです。粒は細長く、特徴的な形をしています。
北海道内では知名度が高く、かつてほとんど本州で出回らない「幻のお米」とも言われていました。現在は、生産量も増え、本州でも購入できるようになってきました。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 18.0% 以下 | ||
名前の由来 | 薄く雲がかったような白く澄んだ色合いが特徴で、春の夜に霞んで見える朧月に例えて命名された | ||
主な産地 | 北海道オリジナル | ||
品種登録 | 2006年(平成18年) |
4.あやひめ(北海道)
プチッとした食感が楽しめる「玄米」がおすすめ
アミロース値が8~13%と、北海道米の中でも特に低いことが特徴です。硬めのお米に混ぜることによって、ご飯の粘りが増し、食味が上がることが確認されています。
あやひめは、玄米で食べることが特におすすめされています。プチプチとした食感が特徴で、カレーのご飯や玄米サラダに活用してみると良いでしょう。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 8~13% | ||
名前の由来 | 「彩」の血を引く品種であることから | ||
主な産地 | 北海道 | ||
品種登録 | 2005年(平成17年) |
5.淡雪こまち(秋田県)
秋田県鹿角地域が誇る初の低アミロース品種
淡雪こまちは、2007 年3月に低アミロース米品種としては初めて秋田県の認定品種に採用されたお米です。秋田県の他の品種に比べて甘味が強いが、後味はすっきりしていることが特徴です。
主に秋田県の鹿角(かづの)地域で生産されています。鹿角地域は、奥羽山脈の豊富な清水や寒暖差の大きい気候から、お米の栽培に適した地域と言われています。
鹿角地域では、淡雪こまちの栽培方法をコントロールし、毎年の気候変動にもよるが、アミロース含有量を均質にすることに成功しています。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 12~15% | ||
名前の由来 | ご飯にしたときのふっくら感が、まるで春先に降る淡雪のようであることと、秋田を連想する「こまち」を合わせた名前 | ||
主な産地 | 秋田県鹿角地域 | ||
品種登録 | 2005年(平成17年) |
「淡雪こまち」については、関連記事の「秋田県の低アミロース米「淡雪こまち」の購入方法や特徴を紹介!中山間地で作られている希少米」で詳しく紹介しています。こちらもぜひチェックしてみてください!
6.ミルキープリンセス(秋田県)
アミロース含有率9%!秋田の低アミロース米の代表格
ミルキープリンセスは、ミルキークイーンと同じ父親を持つ兄弟品種です。アミロース値は9%と、ミルキークイーンと同程度です。
ミルキープリンセスは、ミルキークイーンに比べて稲が倒れにくいなど、生産のしやすさが特徴です。生産は主に秋田県で行われています。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 9% | ||
名前の由来 | プリンセスのように気品高いお米になって欲しいという願いから | ||
主な産地 | 秋田県をはじめ全国4県 | ||
品種登録 | 2003年 |
7.スノーパール(秋田県)
秋田の”希少”低アミロース米
東北地方で作られている「スノーパール」のアミロース含有率はの7〜9%と、一般的なうるち米の約半分です。また見た目が、白く濁っているのが特徴です。
東北の代表的な品種である「ひとめぼれ」に比べて、冷めた際に食味や粘りが優れていると言われています。
お米の粒が熟す時期に、気温が高くなるとアミロース含有量が低くなりすぎるため、秋田県など一部の地域しか適地とされていません。そのため収穫量は77トンしかなく(令和4年の穀物検査)非常に希少なお米となっています。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 9% | ||
名前の由来 | 「雪」という意味のスノーと宝石の「しんじゅ」という意味のパールを合わせた名前 | ||
主な産地 | 秋田県 | ||
品種登録 | 1999年(平成11年) |
8.だて正夢(宮城県)
宮城県が誇る低アミロース・ブランド米「だて正夢」
だて正夢は、宮城県で2017年にデビューした低アミロースのブランド米です。アミロース値が低いだけでなく、甘味や旨味など食味が良いことで知られています。
だて正夢は、厳しい品質基準をクリアしたもののみが販売されています。生産基準に基づき栽培されたお米で、宮城県とJAグループが定めた品質基準をクリアすることが条件です。
おいしい炊き方や生産者情報などは「だて正夢公式ページ」で公開されています。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 10% | ||
名前の由来 | 仙台藩主伊達政宗公の名前から「食卓の天下を取る」という願いが込められている | ||
主な産地 | 宮城県 | ||
品種登録 | 2017年 |
「だて正夢」については、関連記事の「宮城のプレミアム米「だて正夢」の特徴と購入方法を紹介!もっちり甘くやわらかい品種」で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
9.たきたて(宮城県)
アミロース含有率4%!宮城県の超低アミロース米
「たきたて」は、宮城県の超低アミロース米です。アミロース値は、4~10%と幅があり、その年のお米が熟す時期の気温によって変化します。高温の年は4%前後、低温の年は10%程度になると言われています。
生産地は宮城県のみで、生産量も多くはありません。その年のお米の出来を確認した上で、一度は食べてみたい通好みのお米と言えるでしょう。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 4~10% | ||
主な産地 | 宮城県 | ||
品種登録 | 2001年 |
10.ぴかまる(兵庫県、熊本県)
西日本の低アミロース米の定番品種
「ぴかまる」は、西日本で生産できる低アミロース米として開発されたお米です。西日本では「柔小町」という低アミロース米がありましたが、品質が安定しないことが弱点でした。
ぴかまるは、西日本の主力品種である「ヒノヒカリ」はもちろん、東日本の低アミロース米と比べても、アミロース含有率は 10%前後と低いことが特徴です。
アミロース含有率の低さや栽培特性から、東日本でも栽培している地域があります。
項目 | 内容 | ||
---|---|---|---|
アミロース値 | 10% | ||
主な産地 | 兵庫県、熊本県など | ||
品種登録 | 2015年 |
本サイトの「日本全国お米図鑑」ではおすすめの低アミロース米について詳しく紹介しています。以下のバナーからチェックしてみてください!
低アミロース米が向いている料理
ここからは、低アミロース米の使用が向いている料理を2つ紹介します。
低アミロース米は、冷めても柔らかく味の変化も少ないため、炊飯してから食べるまでに時間が経過する料理に最適です。
1. おにぎり
低アミロース米は冷めても柔らかさが変化しにくいため、おにぎりに向いているお米と言われています。
また、低アミロース米は炊き込みご飯にしても粘りともちもちとした食感が持続するため、炊き込みご飯おにぎりにするときも有効です。
2. お弁当
低アミロースは冷めても美味しさと柔らかさが持続するため、お弁当のご飯に使っても美味しく食べられます。
そのため、低アミロース米はお弁当に使う業務用米にも広く使われています。
低アミロース米を炊くときのポイント
低アミロースを普通のうるち米と同じ水加減で炊くと、柔らかくなり過ぎてしまうことがあるため注意が必要です。
低アミロース米を失敗せずに美味しく炊くためには、普通のご飯を炊くときよりも10%程水加減を減らして炊くのがおすすめです。
また、低アミロース米と粘りが少ないお米を混ぜる場合も、同様に水加減を減らして炊くと更に美味しくすることができます。
ただし「早炊きモード」で炊く際や、古米(令和4年度産の場合、令和5年6月以降など)の場合は、通常の水の量での炊飯がおすすめです。
冷めてもおいしい低アミロース米を取り入れよう
うるち米ともち米のメリットを両方併せ持った低アミロース米は、日本人が美味しいと感じる要素がいくつも備わっているお米と言えるでしょう。
普段食べているお米に粘りをもう少し加えたいときは、低アミロース米をプラスして炊くことも有効です。
いつものご飯をもっと美味しくしたい人、お昼ご飯のお弁当を美味しく食べたい人は、ぜひ低アミロース米を取り入れてみましょう。